背景色を変更する
文字サイズを変更する

ここから本文

トピックパス
トップページ > 地域・社会のページ > 教育ちょっといい話 > 現在地

平成25年 (2013年) 10月 18日

教育ちょっといい話 第137回

山口県立豊北高等学校 校長 岩本 浩一郎

 

ある新聞のコラムに織姫と彦星の話が取り上げられていました。七夕伝説は知ってのとおり、愛し合う2人が年に1度しか会うことを許されないというロマンあふれる話ですが、ある調査によると、織姫と彦星が夫婦だと正しく理解していた人は1割もなく、9割を超える人が恋人と誤解していたそうです。物事が正しく受け止められていない面があるようです。

ところで、最近、日本語を大切にしようということが言われ、正しい言葉を理解していない若者が多いということがよく指摘されます。例えば、「息をのんで、試合に見入っていた」。どこかおかしいところはありませんか?「息」は「つめる」又は「こらす」が慣用句で、「のむ」となれば、「固唾(かたず)をのむ」が正しい使い方です。

物事について正しく見聞きし、きちんと理解して、適切に使い切るということはなかなか難しいものです。特に、私たちは、好き嫌いなどといった感情に左右されがちですし、先入観や偏見でもって物事を捉えてしまうことが往々にしてあります。そのために、予期しないマイナスの結果をもたらしてしまうこともあります。私たちの眼や心を曇らせる、そうしたものに惑わされることなく、正しい知識を獲得し、それを本当の意味で役立てる力を養っていきたいものです。

人間関係においても同じことが言えます。偏った見方で人を見て、誤った付き合い方をすれば、周りの人と衝突を引き起こしてしまいかねません。その結果、人間同士が争ったり、国が滅んだりという歴史も過去にいくつもあります。

さまざまなものに接し、それを活用するのと同じように、人に対しても、冷静に相手の立場を受け止め、正しく理解すること、そして、お互いを認め合い、対等の人間としての付き合いを築いていくことが、人間関係を広げ、豊かな人生を送ることにつながると思います。心の持ち方やものの見方で人生が大きく変わっていくのではないでしょうか。

(1学期末の終業式での講話の内容を要約)

(平成25年9月投稿)

 

一覧に戻る

ページトップ