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平成27年 (2015年) 1月 14日

教育ちょっといい話 第151回

山口県立熊毛南高等学校 校長 白井 宏明

寒く、でも、温かい一日

昨年の12月17日(水曜日)、日本列島に大寒波が襲来したのを覚えていらっしゃるだろうか。中心気圧が948ヘクトパスカルまで発達した爆弾低気圧の影響で、日本付近は強い冬型の気圧配置となって大荒れの天気となり、数年に一度あるかないかの猛吹雪に襲われた。実はその日は、本校の修学旅行団が北海道から帰る日だった。

修学旅行団一行は、午前中に予定していた小樽観光を急きょ変更して、ホテルから直接新千歳空港に向かった。幸い、空港の辺りはそれほどひどい天候ではなく、飛行機の離着陸も可能だった。しかし、なかなか搭乗手続きが進まない。東京や大阪、福岡の便は次々と案内されているのに。やっと案内されたかと思うと、「広島空港が強風のため、目的地変更もとある。」と言われたそうだ。天候の問題は、北海道ではなく広島にあったのだ。福岡空港か、伊丹空港への変更もあるかと心配していたが、どうにか無事に広島空港に到着してくれた。やれやれと安心したのもつかの間、今度は、山陽自動車道が雪のため通行止めである。一行はやむなく一般道をバスで学校まで帰ることになった。

予想どおり、一般道は大渋滞。このため学校への到着時間は、予定を大幅に遅れることとなった。到着は深夜に及んだ。保護者への連絡は、生徒自身からの連絡、学校からの緊急連絡メールやウェブページ、ブログを通して頻繁に行っているので理解は得られるだろうが、問題は、保護者が学校に迎えに来た際の車の誘導である。午後6時や7時くらいであれば、多くの教員が学校に残って対処してくれるだろうが、このたびは深夜である。そんなに遅くまで学校に残ってくれと言うのもはばかられるが、とはいえ、教頭と二人で深夜に100台以上の車の誘導をするのも大変だと思いあぐねていた。結局、何も言わずにいたが数名の先生が自主的に残って、車の誘導を手伝ってくれた。夜間での混雑や事故を避けるため、運動場の照明をつけ、整然と駐車するよう誘導してくれたのだ。また、女性の先生の一人が、遅くまで残っている先生方のために、おにぎり、唐揚げと豚汁をわざわざ作って差し入れてくれたのである。

午後11時半過ぎ、修学旅行団は無事学校に到着した。帰路は長い長い大変な道のりであったが、生徒はみな元気に帰ってきてくれた。私にとっても長く疲れる一日となったが、すべての生徒が家路についた後、深夜に職員室で先生方と一緒に豚汁をすすりながら、寒い中にもどこか心温まる思いを私は感じていた。

(平成26年12月投稿)

 

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