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平成30年 (2018年) 3月 15日

教育ちょっといい話 第176回

山口県立豊浦高等学校 校長 友澤 邦昭 

「正義」〜明治維新150年〜

私が大学1年生の時のことです。野球部の入部式があり、新入部員全員が、名前と学部、出身校を言いました。入部式が終わり、解散後に、同じ新入部員で身長190センチ近い大きな男が、私を見て、「君は、長州か?」と聞いてきました。「ああ、今は山口県というけど」と答え、逆に「君は、どこ?」と聞き返しました。「会津だよ。前の戦争の恨みは忘れていないぞ!」とにらまれました。「前の戦争って?」と聞き返すと、「戊辰戦争に決まっているだろうが!」と強く言われました。昭和52年、1977年の話です。その後、彼とは親友になり今でも付き合いは続いています。

ここで本日のテーマである「正義」です。昔から、敵と味方をはっきりさせるために「正義」という言葉を使ってきました。自分たちの「正義」に反する相手は「悪」であると決めつけて、味方の結束力を高め、敵を倒すエネルギーにしてきました。「正義」と「悪」という単純な構図に特化され戦争に突き進んだ過去の悲劇から学んだのは、自分たちの「正義」に反する相手は「悪」ではなく、「別の正義」をもっているということです。片方が、「正義」を振りかざしてきても、他方は「自分たちが悪」だとは思いません。「正義」と「悪」というような、単純な問題ではありません。

明治維新150年を祝うことは、後輩として大切なこと、喜ばしいことですが、その陰には、温度差のある人々がいることを知ってほしいと思います。そういうバランス感覚をもってほしいと思います。そのバランス感覚のことを「教養」というのだと思います。「単純、まっしぐら」が若さの特権ですが、「正義」とか「悪」という言葉を聞いたときには、少しスピードを落として、想像力を働かせてほしいと思います。

 

(平成29年度2学期始業式校長式辞より)

 

 

 

(平成30年2月投稿)

 

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