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平成28年 (2016年) 1月 12日

教育ちょっといい話 第159回

周南市立富田東小学校 校長 浅川 宏之

4月の始業式で子どもたちに伝えたこと

ある男の子の話です。男の子が小学6年生のとき、大切な家族の一人、お母さんががんで亡くなりました。お墓にお骨を入れるとき、男の子は、一枚の手紙をそっと壺の中に入れました。お父さんが、「お母さんに何て手紙を書いたの?」と聞きましたが、男の子は「秘密」と言って答えませんでした。でも、お父さんには、大体の内容は分かっていました。男の子が小学4年生から始めた野球に夢中だったので、「亡くなったお母さんを甲子園に連れて行ってあげる。」おそらくこんな手紙を書いていたのだろうと思っていました。

男の子は、それから、毎日一生懸命に野球の練習を続けました。お父さんもおいしい料理を作ったり、野球の応援をしたりしました。高校3年生の時に、あと一回勝てば甲子園に行けるという試合で、残念ながら一点差で負けてしまいました。甲子園にお母さんを連れて行くという男の子の夢は終わってしまいました。その後、男の子は救急救命士の資格を取り、今では消防の仕事をしています。男の子が中学生の頃、大きな地震が起こり、生き埋めになった自動車の中から男の子が助け出されるニュースがテレビで流れました。このことがきっかけで、大きくなったら人の命を助ける仕事をしたいと思ったからです。残念ながら甲子園にお母さんを連れて行くという男の子の夢は実現できませんでしたが、その夢をもつことによって仲間と一緒に野球を頑張ることができました。そして、そのことが今の仕事にもつながっています。

大きな夢をもつことは、子どもたちがこれから成長していく中で、自分自身を大きくさせてくれる大切なエネルギーになります。まだ、はっきりとした夢をもっていない子どもには、夢を見つけられるよう、支援していきたいものです。

 

(平成27年12月投稿)

 

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