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平成28年 (2016年) 2月 15日

教育ちょっといい話 第165回

萩市立萩東中学校長 校長 山崎 伸介

 

「魚が言いました‥わたしは水のなかで暮らしているのだから

あなたにはわたしの涙が見えません

王璇『魚問』より」

 

久しぶりに心に浸み渡る言葉でした。

毎年、読み終えた本について5段階評価(SABCD)で書評を書き記していますが、ストーリーだけでなくその文章の一文までが心に残る、文句なしのSでした。これは2015年直木賞受賞の「流」(東山彰良著、株式会社講談社発行)のエピグラフです。

絶対評価というのに、2学期の通知表に非常に厳しい評定がいくつもありました。それを見る生徒や親の心を考えるといたたまれず、とうとう前述の文を引用し、教職員へプリントを配布しました。

「人の喜びやうれしい様子は誰でもすぐに分かります。でも、人の痛みや悲しみは、立場や生活様式が違えば気付きません。いじめや不登校、虐待等の生徒の思いや保護者の思いは、鈍感であれば見逃したり、誤解したりします。そして、その人が使う言葉には、その思いが表れるのです。感性を磨く努力をしなければ、その人に思いをはせることはできません。」

1年間の読書(約70冊)でわずか1冊か2冊、こんな本との出会いが次の読書意欲をかき立ててくれます。今年度Sを付けた本はまだ1冊だけです。

追伸

萩に来るまでは、夏ミカンは初夏に実るものと思っていましたが、11月下旬から収穫の5月まで鮮やかな黄色の実を付けています。

 

(平成28年1月投稿)

 

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