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平成29年 (2017年) 1月 25日

教育ちょっといい話 第172回

美祢市立大嶺小学校 校長 岡本 壽之  

「すべては子どもたちのために」

 本校では、毎月の5日と15日を「ことばの日」とし、あいさつを励行したり教職員が大切にしている格言・故事を取り上げお昼の放送で体験談を語ったりしている。また、日常的に児童会の各委員会が、ことばをテーマとした活動に取り組んでおり、広報委員会は、全校児童の心を豊かにするために、毎月、金子みすゞさんの詩を掲示板で紹介しているところである。先日、校内を歩いていると、その詩の周りに飾り付けとして添えられた折り紙作品が目に留まった。優しい表情の顔が描かれたサンタクロースで、作者である児童の素直な心が伝わってくる温かな作品であった。

さて、私は、毎朝、校門付近で登校する子どもたちを迎えている。全校の子どもたちと接することができる大切な時間である。そこでは、私の姿を見るなり「おはようございます」と元気な声であいさつをする子ども、私のあいさつを受けて「おはようございます」とあいさつをする子ども、心の中ではきっとあいさつをしているものの黙って通り過ぎる子ども等、様々な姿を見ることができる。

Aさんは、10月までは、黙って通り過ぎる子であった。しかし、ある日、小さな声ではあるが「おはようございます」を聞くことができた。私は、あまりのうれしさで、そのことを担任に伝えた。担任も「先生もうれしかった」の気持ちを添えてその子を称賛したところ、はにかむような表情をしていたとのことであった。翌日、その子に「おはようございます」と声をかけると、前日より少し大きな声のあいさつが返ってきた。機会を捉えてまた称賛すると、自分から進んであいさつができるようになった。あれから1か月、今では、会釈や笑顔を添えたあいさつができるようになっている。

職員室でこのことを話すと、折り紙作品の作者がAさんであることを他の教員から教わった。本校では「すべては子どもたちのために」を合い言葉として教育活動に取り組んでいるが、全校教職員が小さなできごとを捉えて、認め、褒めることで、子どもが変わることを実感した出来事である。

 

(平成28年12月投稿)

 

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