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平成22年 (2010年) 11月 19日

教育ちょっといい話 第101回

田布施町立麻里府小学校 校長 篠田 芳江

 

3年前、新任2校目に勤めていた学校へ教頭として着任した。予想したとおり、当時の教え子たちの多くと保護者として再会した。

その中に、かつてのA君がいた。6年生で担任したA君は、教室でじっと座っているよりも運動場を走り回ることが大好きな子どもだった。暗くなるまで田畑で働いているお母さんから、「何とか中学校へ行って勉強についていけるようにして欲しい。」と相談され、放課後居残り勉強を始めることにした。

しかし、A君にお母さんの気持ちが分かるはずもなく、いやいや勉強をしていた。年が替わり2月になるころA君の顔つきが少し変わってきた。

そして、あと1週間で卒業式という時に涙を流してつぶやいた彼の一言が、私のその後の教員生活に大きく影響を与えた。「1年生の時から勉強をしておけばよかった。」教師の責任を感じた一言でもあった。

あれから、20数年後に会ったA君は、2人の男の子の保護者として学校に協力的な父親となっていた。「先生、自分の子どもはちゃんと勉強させているから。」の言葉どおりのしっかりした子どもたちだった。A君のおかげで、在職していた2年間充実したPTAの事務局を務めることができた。

私の転勤が決まった3月末「先生、何かしておくことはないか。」という次期PTA会長のA君に、気にかかっていた遊具の塗り替えを頼んだ。サビ落とし、サビ止め、足場を組んでペンキ塗りと人手が必要な作業である。

後日、学校だよりで、5月の連休に遊具のペンキ塗りが完成したことを知った。(平成22年7月投稿)

 

 

 

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