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山口市立中央小学校 校長 髙村 彰一
「本校の挨拶は他校とちょっと違うんですよ。」
赴任した直後、教頭先生からまず言われた言葉である。何でも「おはようございます。」などの言葉を発し、その後にお辞儀をするという。説明を聞いたときは意味がよくわからなかったが、始業式などの行事を体験すると、「これはいい。」と思うようになった。
普通は、「こんにちは。」と言いながら頭を下げるが、本校児童や教職員は直立して対面し、「こんにちは。」と言い、その後お辞儀をする。してみると、それが実に美しく感じられる。見ていても美しい。挨拶を「ながら」ではなく「静止」の状態ですることで、正対する2人の間に緊張感や相手を尊ぶ雰囲気が流れる。まっすぐな気持ちになり、がんばる意欲が湧いてくる。
驚いたのは、朝、職員室前を通る登校中の児童が立ち止まり、職員室の教職員に向かって姿勢を正してこれを行うことである。受けた教職員も同じようにして挨拶を返す。朝のすがすがしさが倍増する。帰り際に校長室前を通る児童も、私に向かって同じようにする。
すべての児童が必ずできているわけではないが、上級生が下級生に「こうするんよ。」と手本を示すことがあり、それを見ていた教職員が、「あの子もずいぶんしっかりしてきたね。きちんと教えているよ。」と話しているのを聞いたときは、「伝統はこのようにして守られ、引き継がれていくのか。」と理解したように思った。
私は、他のことは変えることはあっても、この独特の挨拶だけは必ず守っていこうと強く思っている。
(平成23年6月投稿)
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