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宇部市立東岐波小学校 校長 福永 博千土
子どもたちと話をするのが楽しみで、毎朝、登校指導も兼ねて、学校近くの横断歩道で子どもたちが来るのを待っているのが日課になっています。
前の学校のことですが、4月末のある日のこと、交通指導に立っていると突然大粒の雨が降り出しました。幸い私も子どもたちも傘を持っていたので、傘をさしての登校になりました。
大粒で激しい雨に私は、「いやな雨だな。」と思って「あ〜あ、いやな雨になったね。」と子どもたちに言うと、1年生の男児が「校長先生、この雨……。」と言ったので、私は心の中で「『いやですね。』と言うな。」と思っていたら、何と次の言葉が返ってきました。
「校長先生、雨っていい音ですね。」
私は、この言葉に思わず感動したと同時に、感性のない自分が恥ずかしくなりました。
大人は、とかくマイナスに物事を捉えがちですが、子どもの心には、激しく打つ雨の音に耳を傾ける豊かな感性がありました。子どもたちを教え導く立場にある私ですが、この日は1年生が私の教師でした。
この日の「校長先生、雨っていい音ですね。」という言葉は、私の大切な宝物となりました。
この言葉からたくさんのことが見えてきます。豊かな自然が人の心にもたらす恵みや、あたたかい家族の姿が、この言葉を生んでいるのです。子どもの純朴な心に感謝します。
それともう一つ忘れてはならないのが、降ってくれた大粒の雨に感謝することです。この雨がなかったらこのすばらしい言葉には出会えていませんでしたから。
子どもたちのつぶやきは、時として我々大人に忘れかけた心の清らかさを呼び覚ましてくれます。子どもたちこそ、大人のよい先生なのです。
(平成24年1月投稿)
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