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下関市立垢田中学校 校長 太田尾 雅博
以前勤めていた中学校でのことです。職場体験学習で生徒がお世話になり、そのお礼を言うためにある自動車販売会社を訪ねました。事前に連絡を入れておいたからか、その会社の所長さんがわざわざ玄関先で出迎えてくださいました。従業員の方も大変気持ちのよいあいさつをされ、「明るく雰囲気のいい会社だな。」と感じました。
私は、大変恐縮して型どおりのあいさつをし、お礼を言い、最後に頭を下げて帰ろうとすると、その所長さんは「ありがとうございました。」と言い、お辞儀をしたままの姿勢で頭を上げようとされませんでした。駐車場まで行き、車に乗ろうとして振り返ると、まだ頭を下げたままの状態でした。私も再度、「お世話になりました。」と頭を下げて車に乗り、道路に出てバックミラーで見ると、まだ、その所長さんは頭を下げたままでした。結局確認できる間はずっと姿勢を崩されませんでした。
その会社のトップが、初めて会った私に、それもこちらがお世話になったのに。
びっくりすると同時に大変感動しました。「たった一度のあいさつ」、「お辞儀一つ」で、これほどまで相手にインパクト、感動を与えることができる。なかなかできそうでできないことではないでしょうか。
社員の明るく気持ちのよいあいさつや、所長自らの玄関までの出迎え。ちょっとした心遣いが会社全体に浸透しているとうなずける出来事でした。感動すると同時に、働くということについて考えさせられました。
(平成23年7月投稿)
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