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山口県立豊浦総合支援学校 校長 飯田 規寛
「お兄ちゃん!はい!メール!」
1学期終業式の途中、小学部低学年のA君が急に会場を飛び出しました。教室から帰ってくると、小さな手に手紙を持ち、高等部3年のお兄ちゃんに大事そうに手渡したのです。
後から担任の先生に聞くと、A君はよく遊んでくれるお兄ちゃんが大好きで、前の日に「しばらく会えなくて寂しいけど、また元気に会ってね。」と書いた手紙を準備していたそうです。それを教室に置き忘れ、終業式が終わるともうお兄ちゃんに会えないと思い込み、一生懸命取りに行ったのだそうです。
本校は生徒数32名の小さな学校で、みんなとても仲が良く、運動会や生徒会行事も小・中・高の垣根を越えて上級生と下級生が助け合う、こんな温かい場面に何度も出会います。
こうした生徒たちの姿を見るたび、私が育った昭和30年代、「三丁目の夕日」の頃を思い出します。当時は塾も部活もなく、夏休みになると中学生を筆頭に子供達だけで1日中遊んでいました。小さかった私は、中学生のお兄ちゃんたちに見守られながら、山や川を駆け回ったものです。そしてその中で、いろいろな遊びや自然との関わり、人とのつきあい方など、机の上では学べない大切なことをたくさん学びました。
去年、A君は入学式、卒業式、運動会などの行事には不安で出られなかったそうです。でも、高等部の生徒たちが小学部によく遊びに来てくれ、行事でもよく面倒を見てくれるので、安心してその場に居られるようになり、今年は様々な行事にも参加でき、驚くほど成長したそうです。
今年赴任したばかりの校長として、今後も子どもたちが、この豊浦総合支援学校の「三丁目の夕日」の中で健やかに成長することを願っています。
(平成24年7月投稿)
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