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山口市立良城小学校 校長 西元 良治
昨年の12月、コミュニティ・スクールの推進フォーラムに参加した時のことです。休憩時間に知人と話をしていると、突然、私の前に女性が現れました。
「西元先生、こんにちは!○○です。分かりますか?」
くりくりっとした目に、愛くるしい笑顔。すぐに思い出し、
「ああ、覚えているよ!○○ちゃん、元気?」
と返答しました。
「西元先生の声が聞こえた気がしたので、もしかしたらと思って・・・。会えてうれしい!」と、彼女はとても喜んでいました。
驚きました。今から26年前、小学4年生で担任した教え子との偶然の再会でしたから。
しばらく思い出話をしていると、彼女が急にこんなことを話し始めました。
「先生、私ね、毎年この時季になると、いつも先生のことを思い出すんよ。」
「どうして?」
「先生からもらった年賀状に『サンタさん、赤い自転車を持ってきてくれたかな?』って書いてあったの。なぜ、先生が私のクリスマスプレゼントのことを知っていたのかなぁと、子ども心にとても不思議だったの。」
かれこれ26年も前のことなので、私はすっかり忘れていましたが、彼女に言われて、年賀状にそう書き添えたことをおぼろげながら思い出しました。
「そう言えば・・・そんなこと書いたねぇ〜。」
彼女は続けました。
「私ね、三女だったから、何でもお姉ちゃんたちのお下がりばかりで、ボロボロの自転車に我慢して乗っていて、新しい赤い自転車がずっと欲しかったの。そしたら、その年にサンタさんがプレゼントしてくれて・・・。『サンタさんは、私の欲しかった物を知ってたんだ。やっぱりサンタさんは、すごいっ!』と、当時とってもうれしかったし、驚いたの。」
「しばらくして、母から『赤い自転車を欲しがっている話を西元先生から聞いて、クリスマスにプレゼントすることにしたのよ。』と聞いたとき、とってもうれしくって『先生、ありがとう!』って、涙がこぼれたの。」
この話を聞いて、私は、毎年クリスマスの時季になると、自分のことを思い出してくれる教え子のことを、とても有り難く思いました。
私は、若い頃から子どもたちとの会話が楽しくって、休み時間にはいろいろな子どものお話をよく聞いていました。このことが一人の子どもの生涯にわたる喜びの思い出につながったことを初めて知り、とてもうれしく思いました。そして、今度は私が、教え子から、生涯の思い出となる素敵なクリスマスプレゼントをいただきました。
【行属性4(平成28年1月投稿)
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