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山口市立湯田中学校長 校長 藤本 孝治
昨年度まで、兵庫教育大学の教授として「教育行政職トップリーダーの資質能力に関する研究」に取り組んできました。その研究のために、フィンランド、イギリスの大学(ヘルシンキ大学、ロンドン大学等)・教育行政機関・小中学校を訪問することが何度かありました。
フィンランドの小学校を訪れた際、現地の校長先生に頼まれ、一度、5・6年生を対象として習字の授業を行ったことがあります。フィンランドは漫画「ワンピース」の影響で、日本の文化に興味・関心を抱いている子どもが非常に多い国です。そのため、習字の授業中、子どもたちの瞳は生き生きと輝き、意欲的に参加していたのがとても印象に残っています。
フィンランドは、全体の約25%が移民・難民の子どもたちで、教育理念は「平等」です。多くの子どもたちが「フィンランド語」「スウェーデン語」「英語」等、複数の言語を使いこなしています。近年、「子どもの学力が世界トップクラス」ということでも注目を浴びているフィンランド。その要因も幾つか考えられます。例えば、消費税は24%と高い反面、教育・医療は充実しているという点です(学費、給食費、医療費等は無料)。また、各学校ごとに、少人数制によるクラスで学力差に応じた個別指導を徹底しており、学力向上にもつながっています。教員は全員修士号を取得しており、社会的地位も高いです。校長に至っては、修士号及び国家教育委員会によって認可されている教育行財政証明書(CEA)を有していなければなりません。こうした背景が、フィンランドの学力にも大きな影響を及ぼしていると考えられます。
「グローバル化・情報化の時代」「先の見えない不透明な時代」と言われています。ビジネスの世界では、正解がないどころか、何が問題かも明確ではありません。有名大学に入学できても、受け身の勉強の経験しかないと、社会に出たときに困ります。
子どもたちの将来を考えると、知識だけでなく、アクティブ(能動的)に学ぶ姿勢や、自ら問いを立て考える力、コミュニケーション力(人を説得できるような話す力、語学力等)等々、これからの社会を生きる上で必要となる資質能力を育んでいかなければならないと考えています。
(平成28年1月投稿)
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