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美祢市立大嶺小学校 校長 藤本哲城
平成3年3月、当時勤務していた「鹿野町立渋川小学校」が休校となった。
先日、自宅の書棚にあった『学舎鎮魂』(発行:鹿野町教育委員会)がふと目に止まった。当時のことを懐かしむとともに、学校が存在することの大切さ・ありがたさを再認識した『学舎鎮魂』との再会であったので、私の記述の最後の部分(一部改編)を紹介させていただく。
○ 3月20日(木曜日)を過ぎると、休校に伴う屋内外の整理が本格化した。しかし、まだ 在校生(4人)がいるので、大がかりなことはできず、“子どもたちにわからないよう に、少しずつ片付けていく”といった感じであった。
○ 3月26日(水曜日)、修了式を終えてから大忙しであった。「立つ鳥跡を濁さず」を合い 言葉に、連日遅くまで全教職員(6人)で片付けた。いつ学校が再開されてもよいよう に念入りに行った。学校を一時閉じること(休校)が、これほど大変なものだとは夢に も思わなかった。
○ 3月30日(土曜日)午後、子どもたちと教職員との別れ、学校との別れ、そして地域の 方々を招いてのお別れ会があった。児童の言葉やスライドで、“渋川小のあゆみ”を発 表した。
○ 3月30日(土曜日)夕方、地域へのあいさつ回りをすませ、片付けを終え、記念誌『 30年のあゆみ』の発送準備が完了したのが、午後9時過ぎであった。全教職員で最後 の点検を終えると、何だか目頭が熱くなってきた。これまで休校の準備で大忙しだった が、気がつけば、我々6人も転退職である。それぞれ別れることになる。校長先生のお 言葉をがら〜んとした職員室で聞く。みんなしんみりしている。私も涙を見せまいとい っしょうけんめい。そして、最後に玄関のかぎをかけた時、「ああこれで渋川小ともお 別れか」と思うと言葉では言い表せない、何とも言えない気分になった。“じ〜ん”と 胸を突き上げるような思いだった。玄関のかぎをかけた時の情景・思いは、今でも鮮明 に覚えている。
【出典等参考資料:『瀬田静香 学舎鎮魂』『学舎鎮魂〜在りし日の学校を偲んで〜』
(発行:鹿野町教育委員会)】
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