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平成21年 (2009年) 7月 22日

教育ちょっといい話 第37回

美祢市立東厚小学校 校長 山本 良典

「プッチーの死から」

 

東厚小学校には、6・7年前から1羽の白いウサギを飼育していました。人にたとえれば、70歳以上に当たる年齢でした。名前をホワイト・プッチーといって、子どもたちのアイドルでした。

6月のある日、いつものように子どもたちは小屋から出して、プッチーと遊んでいました。しかし、抱きかかえた拍子に手から離れ落ちたようです。

次の日、プッチーの様子がおかしいことに気がつき、動物病院に連れて行きました。薬を飲ませましたが、だんだん弱っていきました。子どもたちは休み時間のたびに交替でえさをやったり看病したりしました。

その後、別な病院に連れて行くと、かなり重傷とのことを聞かされ、夜は、教師が家で看病したり点滴のために病院に連れて行ったりしました。

そこの病院の先生が、

「費用のことは、気にしないでいいです。いつでも連れてきてください。」

と温かい言葉のお陰で、点滴や投薬と、できる限り、治療をしてもらいました。このことは、子どもたちにも伝えました。子どもたちも学校にいる間、懸命に看病をしました。

しかし、夏休みに入ってまもなく、治療の甲斐もなく、死んでしまいました。治ると信じていた子どもたちのショックは、大きかったようです。

登校日に墓を作り、花を手向けて、死を悼みました。その後、お世話になった動物病院の先生にお礼の手紙を全校で書きました。

数日後、その動物病院から封筒が届きました。中には、子ども一人一人に宛てた手紙が入っていました。

学校宛の手紙に「助けてあげることができず、申し訳ない。・・・でも、みなさんの手紙で生きる勇気をもらうことができた。」と綴ってありました。全校の前で、この手紙を読んだとき、人のやさしさや思いやりで目頭が熱くなりました。

また、一人一人にいただいた先生からの手紙は、子どもたちにとって宝物になったことと思います。

たくさんの人の心を豊かにしてくれたプッチーは、今天国で飛び跳ねながら東厚小を見守ってくれていることと思います。

 

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