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山口県立徳佐高等学校 校長 爲久 薫雄
ある中学校を訪れ道徳の授業を参観して思ったことです。
そのクラスでは、生徒が1班5〜6人の6班に分かれ、机を寄せ合って座っていました。机の上には白い画用紙とハサミが一つ。
授業が始まると、各班とも先生の指示に従って画用紙を班の人数分に切り分け、バラバラに机上に置きました。形は、三角・四角等、何でも有りです。次は、班員全員が時計回りに隣のテーブルに移動し、前の班が作った画用紙の破片を組み合わせて1枚の画用紙に戻します。手作りの簡単なジグソーパズルです。次に、それぞれの破片を更にハサミで切り、数を倍の12ピースにします。形は次第に複雑になります。それをバラバラに置き、前回同様に隣のテーブルに移動し、前の班が作った12ピースのジグソーパズルを完成させます。そして、更に同様のことを繰り返し24ピースにチャレンジします。6ピースから12ピース、24ピース、白い紙なので手懸かり、頼みの綱は形だけ。裏返しになっているピースもあります。簡単だったパズルがどんどん難しくなります。当然、完成させるのに時間の差が生じ、早い班と遅い班ではかなりの差となります。結局、担当の先生はこの授業を通じて生徒たちに、ジグソーパズルを完成させるには班員一人ひとりの協力が大切だ、集団で何かを成し遂げる場合も同様であるということを伝えたかったようです。
私はこの授業を参観していて、ジグソーパズルを構成する様々な形のピースが、個性豊かな生徒、その集合体であるパズル全体が一つのクラス、または学校全体に思えました。そして、ピースの数が多くなる程、つまり生徒数が多くなる程そのクラスをまとめるのは難しくなり、教師の指導力が問われてくる。しかし、それ以上に生徒一人ひとりの協力が不可欠であり、リーダーの存在や個々が自己の役割を認識することも大切であると感じました。
そうして完成したジグソーパズルは大変美しいものです。しかし、ピースの一つが入れ替わっていたりピースが欠けていたりすると、その美しさは無くなってしまいます。クラスに、学校に所属する一人ひとりは、その一員であるという自覚をもって生活することが重要だと思いました。
この日思い、感じたことを自分自身に言い聞かせながら、日々生活しています。
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