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平成22年 (2010年) 1月 12日

教育ちょっといい話 第56回

美祢市立綾木小学校 校長 藤本昭子

あいさつの偉力

 

1年生の学校生活もだいぶ慣れてきて、学級の友達や上級生と一緒に楽しそうに学校生活を送っている。

近年、児童数の減少に伴い、下校時に同じ方面に一緒に帰る友達がいないので、1年生を教員が送ったり、保護者が迎えに来たりの毎日である。

先日は、私が下校の同伴をしようと下駄箱に行くと、1年生の児童が待っていた。私を見るなり、ランドセルを背負った児童が

「校長先生、おねがいします。」

とはっきりした口調で、お辞儀をした。私はその何気ないしぐさを見て、心晴れやかになり、この児童を無事に送り届けようという気持ちが一層増してきた。道中、児童との話がはずんでいる中、迎えに来られた母親と出会った。母親は、下の子を連れて、駆け寄ってきて、「ありがとうございます。」と深々と頭を下げられた。

あいさつの習慣は、学校でも力を入れているが、まず家庭から育てられるものである。この児童と母親のあいさつぶりを見ると、家庭の温かい教育の一端を垣間見るようであった。

 

本校のあいさつ運動では、「明るく おおきな声で」「先ず自分から」「1日10人以上」を達成するよう、子どもも教職員も日々取り組んでいる。

最近は、地域の人から

「先生のあいさつは、元気が出ますねえ。」「子どもさんから、今日は元気をもらった」

という声を聞く。先日は、ある高齢者に「おはようございます」と大きな声であいさつすると、「ありがとうございます。」というあいさつが返ってきた。その後すぐに「あなたのあいさつから元気をもらってうれしいです。ありがとうございます。」とその高齢者は付け加えられた。「おはようございます」の一言で感謝されるとは! あいさつの偉力を感じた。

 

人と人の心を結ぶあいさつは、優しく、温かい心のかけ橋である。また、相手に元気さえ与えられる妙薬でもある。

 

「子どもは大人の後ろ姿を見て育つ」という言葉をよく耳にするが、明るいあいさつによって、学校や地域が温かく包まれ、子どもが明るく心優しく育つよう、これからも後ろ姿を見せていきたい。(平成21年7月投稿)

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