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山口県立宇部西高等学校 校長 廣川 晋
「なんときれいじゃね。よう手入れがしちゃある。」
本校を訪問された方が、こんな調子で褒めてくださいます。緑に囲まれた校地に、まるでゴルフ場のような美しい芝生の庭園が広がっているのです。
「校長先生、芝生はたびたび刈るほどええんですよ。」
そう私に教えてくれた職員が、軽快なエンジン音を響かせ芝刈り機を操っています。
庭園の裏にある造園施工実習場に、生徒が急ぎ足で集まってきました。側にある実習棟であっという間に身支度を整えます。靴ではなく地下足袋に作業ズボン、腰には工具袋が下げられています。この実習場も、みごとな芝生の広場ですが、そこには、一坪ほどの芝生のないスペースが、約20カ所設けられています。その四角いスペースに生徒が一人ずつ立ちました。今日は、造園技能検定に向けての実習です。
「ようし、始め。」
図面を見ながら一斉に作業に取りかかります。施行箇所に糸を張り、スコップで土を掘ります。そして、竹とシュロ縄で垣根を組み、石を並べて樹木を配置します。
生徒たちの額から玉のような汗がしたたり落ちてきました。リーダー格のA君、何かと気にかかるB君、寡黙なC君など、学校生活の別の場面では見方の異なる生徒たちですが、この実習では、どの生徒も手際よく工事に取り組み、意欲が行動に現れています。高校生とはいえ、その技術は半端ではありません。
「頼もしいなあ。やるじゃないか。」
時代の変化とともに、若者文化の乱れや社会性の未熟さが目立つようになり、「最近の若者は……」という言葉を耳にしますが、少し違う角度から彼等を見てみると、それぞれに純真な心や隠れていた意欲が見えてきます。
私たち大人が、特に教師である私たちは、生徒のよさや可能性に気付き、力を発揮する場を与えることが大切です。心を揺さぶる瞬間や、元気の出る瞬間など、意欲が高まるチャンスは学校にたくさんあるのですから。(平成21年8月投稿)
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