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平成22年 (2010年) 4月 20日

教育ちょっといい話 第72回

周南市立桜田中学校 校長 尾羽根 公介

 「学校」

 

「おはよう!」午前8時40分。登校してくる子どもたちを出迎える職員の明るい声が玄関前に広がる。通学バスを利用する子。自転車で登校する子。歩いてくる子。保護者と一緒に来る子。どの子もうれしそうな笑顔だ。「おはよう」となかなかことばにできない子どもたちもその笑顔が『おはよう!』と語っているのがわかる。

昨年度まで勤めさせていただいた特別支援学校での毎朝の情景だ。職員と一緒に子どもたちにことばかけをしながら、私はいつも思う。どの職員も子どもたちの表情からその日の状態を読み取っている。そして、その日の支援に生かしている。でも、一口に「読み取る」と言っても、読み取れるまでになるにはどれだけ時間がかかったことだろう。子どもに寄り添い、子どもと関わりながら、その子のちょっとした表情や行動の変化から、内面を推し測り、きっとあれやこれやと対応したことだろう。推測がずばり的中した日ばかりではなかったはず。どうやって支援したらよいか、糸口さえつかめずに悩んだ日々もあったはず。教師のそんな試行錯誤の毎日があり、やがて子どもはこの教師は自分をわかってくれると信頼し安心し、教師を学校を好きになったのだろうと。

「子どもは必ず力をつける。だから、時間がかかっても、とことん付き合う。」とある教師は言う。子どもの喜ぶ顔を思い浮かべながら教材作りをしている教師の姿を見ていると、教師の専門性が磨かれていくことがよくわかる。手作りの教材は、子どもにとっても、教師にとっても貴重な財産になる。「できた時には、どんな小さなことでも大きくほめて認めていく。それが子どもにとっては大きな自信になり、次へ進むエネルギーになるから。」子どもを知ろうと努め、良さを認め、可能性を信じ、とことん付き合っていく教師たち。決して特別支援学校に限ったことではないと思う今日この頃である。(平成21年7月投稿)

 

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