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山口市立井関小学校 校長 菅 栄子
新任でT小学校に着任し、5年間お世話になった。その間、6年生以外の全ての学年を担任させていただき、がむしゃらに突き進んだ5年間であったように思う。そこでの数多くの人との出会いや教えは、私というものの原点である。学校外にもいろいろな体験の機会をいただき、幅広いジャンルの方々と接点をもつことができた。何もわからず若さだけで突き進んでいた私を多くの方々に支えていただいたことを忘れてはいけない。
40名近い子どもたちのために手作りマスコットをプレゼントしたほか、長期休業中には手書きイラストの葉書を全員に届けた。今はパソコンで簡単にできるのだが、当時はそのようなものもなく、下手だが心を届けるつもりで1枚ずつ仕上げていった。
担任した1年間、訳あって一度も声を聞かせてもらえなかった男児が、私の手作りのマスコットを宝物のように大切にしているということを人づてに聞き、最高の喜びを感じた。彼とは20年後、同窓会で大人としての会話ができ、教師としての喜びを味わった。
子どもたちへ届ける葉書には、先生らしい『○○しましょう』の羅列だったのではなかったかと思うが、最近の文面は、『腰や肩が痛みます』という老いを伝えるものになってしまっている。子どもたちからは、結婚をして家族が増えたことを写真入りで伝えてくるとともに、私の健康を気遣ってくれる内容が増えた。その内容の変化が時の流れを感じさせる。
また、当時の校長先生は、児童に論語を暗唱することを提唱されていたので、学級で競いながらまた助け合いながら取り組んでいたことを思い出す。同窓会では、その当時覚えた論語をすらすらと唱えることができる人もいて、会場全員の喝采を浴びていた。
30年以上教師をしていると、様々なことを経験しているのだが、思い出として浮かんでくるのは楽しかったことのみ。しかし、子どもたちにとって当時かなり厳しかった私は、どのような思い出として心に残っているのだろうか。
「教職」という責任ある仕事もゴールに近づきつつあるが、未だ反省の毎日である。(平成21年8月投稿)
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