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美祢市立城原小学校 校長 福永 雅代
五月の清々しい青空が広がるある日のことです。
突然、伸びやかできれいな歌声が流れてきました。耳を澄ませてみれば、誰かが本校の「校歌」を声高らかに歌っているのです。朝の活動や音楽の授業で校内に流れる歌声ではありません。思わず声の方へ立ち上がって、校長室の窓から外をのぞいてみました。
歌声の主は、学校園に理科の観察に出かけたはずの4年生の子どもたちでした。一人の女の子が前に立ち、身振り手振りよろしくにこにこしながら指揮をしています。残りの6人の子どもたちも思い思いの場所で、思い思いの格好で楽しそうに歌っています。咲き誇る藤の花の下、何ものにもとらわれず素直に自由に歌い続けるその姿は、まるで映画のワンシーンを見ているようでした。
何が理由で合唱が始まったのかはわかりません。でも、突然歌いたくなった子どもたちが選んだ曲が、流行りの曲やアニメソング等々ではなく「校歌」だったことが、私をたまらなく幸せな気分にさせてくれました。
子どもたちの未来に「校歌」をふと口ずさむ時があったとしたら、その歌と共に心温まる思い出があふれることを願わずにはいられません。 (平成21年9月投稿)
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