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平成22年 (2010年) 6月 24日

教育ちょっといい話 第85回

山口県ひとづくり財団 沖浦 初孝

叱る

 

電車の出発まで時間があったが既に電車がホームで待機していたので、乗って待つことにした。乗客はまだ数えるほどしか乗っていなかった。隣前に年配の女性に連れられた幼い兄妹が座っていた。この三人の様子から、兄妹は冬休みにおばあちゃんの所に泊まりに来たのだろうと想像した。

その内に、二人は鬼ごっこをして車内を走り回り始めた。嬉しいのだろうなと私の孫の姉妹と重ね合わせながら見ていたら、突然土足で座席に上がり、つり革にぶら下がって遊び出した。これはいけない何とかしてと、おばあちゃんの方を見ても、携帯のメールに夢中で気付かないのかその気はない。

私はそっと近づき「ここには人が座ってでしょう。土足はいけないよ」と微笑みかけるよう言って止めさせた。兄妹が慌てて席に戻ると、「ほら、言ったでしょう」と、おばあちゃんの大きな声。私に当てつけたようにも聞こえた。もう少し違った言葉で子どもたちをフォローして欲しかった。

我が家にも孫がよく泊まりに来る。孫の一言一行に目を細めているが、悪いことをしたときには、厳しく叱ってやる。すると「じいちゃん、嫌い」と精一杯の抵抗をする。それがまた可愛くいじらしい。

怒るとは自分の感情の爆発であり、叱るとは相手を教え諭すことといつか読んだ本の中にあった。そういえば私が子どもの頃、近所の大人は何処の子どもであろうとも悪いことをしようものなら声を大にして叱っていた。子どもの教育は家庭や学校に任せるだけではなく、地域の大人も無関心であってはならないと思う。(平成22年1月投稿)

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