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平成22年 (2010年) 7月 26日

教育ちょっといい話 第88回

下関市立滝部小学校 校長 澤田 英人

 

「ふるさと滝部の良き伝統」

今年は春以降寒暖の差が大きく、『風の駅』がある滝部の街では風雨の強い日が続きました。私は児童の登校時刻に横断歩道の前で素晴らしい光景を目にしました。その日もやはり雨でした。横断歩道横の通路はあまり広くありません。そこに一人の男子高校生が傘を差して通りかかりました。反対方向から40才位の女性が、やはり傘を差して急いでいます。二人がすれ違おうとする正にそのときです。どちらからともなく歩く速度をゆるめ、お互い傘がぶつかり合わないように傘を傾け、「おはようございます」と明るい挨拶を交わしました。私はとてもさわやかな気持ちになりました。こうした姿が自然に見られるところに感動を覚えました。

私はその光景を見て、以前先輩の先生から教わった「七・三歩き」という言葉を思い出しました。狭い通路や小道をすれ違うときに、自分が道幅の三割を使い、残り七割を相手方に譲るように歩くと、気持ちよくすれ違えるという歩き方です。

男子高校生と街の人は、誰かからその歩き方を教わったのでしょうか。それとも最初から知り合いだったのでしょうか。私はどちらでもないと思います。初めはおそらく知らない者同士が、毎朝出会い「おはようございます」と挨拶を交わす内に、高校生にとっては「朝よく出会う滝部の街の人」となり、街の人にとっては「よく挨拶する高校生」という認識が生まれ、自然に譲り合う姿へとつながったのではないかと思います。

高校生にいきなり『挨拶しましょう』と指導しても実践に結びつけることは難しいと思います。幼いときからの習慣が大切であり、それが何世代も継続されることにより伝統になっていくのだなとつくづく感じました。

今年度、山口県教育委員会の三つの基軸の一つに『地域や伝統、文化を踏まえた教育』の推進が提唱されています。子ども達に挨拶を初めとした『ふるさと滝部の良き伝統』をしっかり伝えるとともに、継承者としての自覚を育てていきたいと思います。また私自身、滝部住民の一人として、しっかり挨拶を交わすことを手がかりに、伝統文化の継承に貢献してまいりたいと思います。(平成22年6月投稿)

 

 

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