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平成22年 (2010年) 8月 23日

教育ちょっといい話 第90回

山口市立柚野木小学校 校長 田原 俊子

 

「二つの椅子」

 

一学期が終わり、学校から5人の子どもたちの元気な声が消え、しいんと静まりかえった校舎に、今も忘れることができない感動の光景がよみがえってきます。

4月8日、5年生のIさん、3年生のT君、2年生のSさんの3人で始業式を終えた直後・・・

教務主任のA先生が、3人に「明日は、新1年生2人を迎える入学式です。今からその準備にかかります。どこから準備しましょうか?」(教職員には計画が既に示されてはいたのですが・・・)と投げかけると 、「お客さんが来られるので、玄関や通路、トイレの掃除をします。」「玄関にスリッパを用意します。」「1年生の教室の掃除と飾り付けをします。」「体育館の式場の準備をします。」など、3人の子どもたちが頭をひねりながら考え、いろいろな意見を出し、段取りを決め、取りかかりました。

そして、すべてを終えた2時間後、再び体育館に戻り確認をしました。とその時、新1年生が座る椅子が出ていないことに気付き、ステージ横から2脚取ってきました。さらに、椅子がほこりをかぶっていることにも気付き、上拭き用の雑巾で5年生のIさんが背もたれまで丁寧に拭き上げました。その後、2年生のSさんに「もう一つはお願いね。」と言って雑巾を渡しました。それを側でじっと見守るIさんとT君、そして、さらにこの3人を見守る若い2人の先生・・・そして、椅子がきれいになったら「○○ちゃんありがとう」の一声。

私は、若い頃、先輩教師から『やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ・・・』という山本五十六の言葉を何度か聞かされました。教育者としての心得として。でも、ここ柚野木小学校では、子どもたちが実践していました。感動でした。さらに、このことが、職員室ですぐ話題になったのも、またまた感動でした。

今も忘れることができない、平成22年度の幕開けでした。(平成22年7月投稿)

 

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