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下関市立川棚小学校 校長 松田 篤郎
着任間もない5月のことでした。連休中に水やりをしていたときのことです。
「ここの先生かね。自分は、大分昔にこの学校を卒業したんですよ。」と、男性が声をかけてくださいました。70歳は超えておられそうな方で、3歳くらいのお孫さんとご一緒でした。そして、昔の校舎のこと、昔の子どもたちの遊びのこと、地域の伝統のことなどについて短い時間でしたが教えてくださいました。その後、学校の周りを散歩しておられましたが、水やりを終えて草を引き始めていた私の近くに再び来られ、お孫さんと一緒に草を引いてくださいました。「親戚があるからときどき、川棚には来るけど、戦争が終わって都合で引っ越したんですよ。自分は、川棚の学校が大好きじゃったから、すごい悲しかったんですよ。ふるさとはええですよ。」と、感慨深そうに話してくださいました。お孫さんの「おじいちゃん帰ろう。」という言葉で、お話は途中のままになってしまいましたが、「今日は、大好きじゃった学校の草を引かせてもろうてとても嬉しかった。」と言ってお孫さんの手を引いてお帰りになりました。
次の日、昼前に水やりに行ったら、昨日草引きをしてくださった近くに草が一山こんもりと盛られており、あたりの草がきれいになくなっていました。本当にありがとうございますと、心の中でしっかりお礼を言いました。
あれから、何日も経ちますが、今も、そのとき何度も出てきた「大好きな学校」という言葉が忘れられません。子どもたちが自信と誇りを持って「大好きな学校」と言えるような学校であるため、しっかり努力していかないといけないと改めて感じています。(平成22年7月投稿)
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