背景色を変更する
文字サイズを変更する

ここから本文

トピックパス
トップページ > 先生のページ > 教育ちょっといい話 > 現在地

平成22年 (2010年) 10月 28日

教育ちょっといい話 第98回

宇部市立琴芝小学校 校長 田中 勇

 

 

始業式で子どもたちに話した内容から・・・。

それは、簡単そうで実はとても難しい事なんだけれども、「言葉を大切にしてください」ということです。

みなさんは「甘える」という言葉を知っていますね。お家の人にほしいものをおねだりしたり、困っているときに友達に無理なお願いを聞いてもらったりするのも「甘える」ということですね。日本人は、大人同士でさえ、いっぱい「甘え」あって上手に生活しています。

でも、ある時、東京大学の有名な先生がアメリカで生活しているときに、この日本語の「甘える」という意味にあたる言葉が、アメリカ人が使う英語にはないことに気付きました。それだけではありません。先生は、さらに驚くべきことに気付いたのです。あるとき、先生は、アメリカ人の優しそうなおばあさんが抱えきれないほどのたくさんの荷物を持って歩いているのを見兼ねて、親切に荷物を持って家まで運んであげたそうです。するとおばあさんがお金を払おうとされるので、丁重にお断りして自分は帰ろうとしたら、おばあさんがかんかんになって腹を立てられたそうです。

なぜ親切に荷物を運んであげた先生は、おばあさんから腹を立てられなければならなかったのでしょうか。みなさんには説明ができますか。私には、先生の本を読むまでは説明することができませんでした。

先生が、随分考えられた末に達した結論というのは、アメリカ人のおばあさんが先生に「甘える」ことができなかったのは、アメリカには「甘える」という言葉がないからなんだということです。理解できますか。

このことは、逆にいえば、日本人が人に「甘える」ことができるのは、日本語には「甘える」という言葉があるおかげだということになりますね。

どうですか、校長先生が「言葉を大切にしてください」とお願いした理由がわかりましたか。これがわかった人はきっと、「言葉を大切にして」、人の話を今まで以上に一生懸命に聞くようになったり、本を今まで以上に一生懸命に読むようになるはずですよ・・・。(平成22年7月投稿)

 

 

一覧に戻る

ページトップ