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平成21年 (2009年) 3月 25日

教育ちょっといい話 第16回

山口県ひとづくり財団常務理事兼県民学習部長 沖浦 初孝

恥ずかしかった

 

ひとづくり財団県民学習は、県民の生涯学習に対する多様なニーズに応えるため、一人ひとりがいつでも自由に学べる学習環境づくりや学習活動の支援を行っている。各分野の第一人者である講師による講演・講座は県民の期待を裏切らないと思っている。

 

先日、”その時歴史が動いた”の松平定知アナウンサーをお招きした時のことである。空港に出迎えセミナーパークに着くまで、いろいろと話題をつくり話しかけた。初対面である私にも気兼ねのない親しみやすい対応で会話が弾んで行った。「ここ鋳銭司は大村益次郎の生誕地で墓もあり記念館もあります」との話題になった時、「今、大村益次郎について執筆している。是非、行ってみたい。現場を見ることは取材人の鉄則です」と熱く語られた。

 

講演が終わってから出発の時間は一時間十分しかない。限られた時間に見て回れるかどうか、私と平川参事は講演を聞かず急遽車で下見をして回った。墓は私道から少し入った奥まった静かな場所にあった。二人は車から降り、「これが墓?それにしても名前が益次郎でなくどうして永敏なんだ」と、永敏が本名であることも知らずに近づいたり離れたりしながら墓の回りをうろついた。見学には三十分あれば十分であることも確認できた。

 

講演が終わり、直ちに車で墓へ案内をした。すると松平氏は、墓前で姿勢を正され深々と礼を済ませて墓標など見て回られた。調べ終わるとまた深々と礼をされて墓から離れられた。その姿に接し、私は恥ずかしい気持ちで一杯になった。私たちの前の行動はなんだったのか。不謹慎で無礼極まりない振る舞いに深く深く反省した。

 

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