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平成21年 (2009年) 3月 25日

教育ちょっといい話 第19回

山口県立坂上高等学校 校長 市川 利明

〜嬉しい行動〜

 

体育大会の日の昼食休憩時間のことでした。1年生のある女子生徒が校長室の扉をノックして、「校長先生、ちょっとお願いがあるんですが。」と、少し困ったような顔をのぞかせました。

 

私は、何かあったのかと一瞬暗い気持ちになったのですが、その生徒が言うには、「実は、今女子トイレがとても混雑していて少し順番を待つようになるので、できれば職員・来客用のトイレを使わせてもらえませんか。」とのことでした。私は問題が起きたのではないことにホッとすると同時に、丁寧な申し出に感激し、「ああ、いいよ。よく言いに来てくれたね。」と応えました。そして、なんとその生徒はトイレが済んで、「ありがとうございました。」と、またわざわざ校長室に来てくれたのです。『こんな高校生が自分の学校にいてくれるとは!』ちゃんと許可を得てくれたことだけで嬉しかったのですが、礼を言いに来てくれたことにはさらに感心しました。

 

彼女は、決して要領が悪いのではありません。そんなことでいちいち許可を得るなんて小学生みたいだと思われることもありません。彼女の取った行動は昔なら当然と思われることですが、現代ではハッとするような貴重なものとなってしまいました。

 

彼女には、臨機応変な判断力と勇気ある行動力と、ちゃんと適切な言葉でミュニケーションする力と、そして礼儀正しさが備わっている。実に素晴らしい生徒だと思いました。彼女には、例えば車中から道路端にゴミを投げ捨てる人の気持ちは、とても理解できないでしょう。『こんな生徒を育てなくては。』是非善悪の判断がきちんとでき、豊かな心を持った人間を一人でも多く育てることの大切さを、この女子生徒から改めて教えられ、元気の出る一日でした。

 

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