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山口県ひとづくり財団常務理事兼県民学習部長 沖浦 初孝
それは私が大学4年の夏、1969年7月20日の昼過ぎであったろうか。大学紛争の真っ直中で門にはバリケードが築かれ誰も学内に立ち入ることが出来なかった。講義が休講になって一ヶ月余りもなる。夏休みに入ったとはいえ何もすることがなく、その日は下宿でリアルタイムで送られて来るアポロ11号の月面着陸の様子に見入っていた。
人類で初めて月面に第一歩を踏み出したニール・アームストロング船長の最初の言葉が忘れられない。彼はその瞬間に「これは一人の人間にとって小さな一歩に過ぎないが、人類にとっては偉大な飛躍である」と、月から地球へ熱いメッセージを飛ばして来た。今も鮮明に覚えている。私は、この言葉を借りて、「踏み出そう先ず一歩。小さな一歩は大きな前進」と言い、新しい事に対しては常にこの気持ちで取り組んで来た。
新しい事に取り組もうと話し合いを始めると、本論に入ろうとはせず、出口論ばかりを言う人がいる。そんな時、日本サッカーリーグ草創期の川淵チェアマンの言葉、「時期尚早であると言う人はやる気のない人。前例がないと言う人はアイデアのない人」が思い出され寂しい気持ちになった。
誰しも新しい事への取り組みは、躊躇してしまいがちである。しかし、先ず一歩を踏み出さなければ何も始まらない。踏み出すためには勇気も必要である。そうすれば、歌の歌詞ではないが、一歩が十歩に、十歩が百歩に、百歩が千歩になって行き、目標の達成に大きく近づいて行くと信じている。
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