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社会福祉法人中部少年学院理事長 石川 啓
(1)人には温かく 自分には厳しく
佐藤一斎先生は言志四録において「春風を以って人に接し 秋霜を以って自ら粛む」と訓えられました。人に接するには春風の和やかさ、自らを律するには秋霜の厳しさ、この心の働きの軸が捻れているのではないかと憂慮します。自己中心で、他人には冷酷無惨な風潮は、是非改めなくてはなりません。
(2)あこがれて 懸命に打ち込む
吉田松陰先生は士規七則において、若き彦介に「志を立てて以って萬事の源と為す」と訓えられました。目標達成のために懸命に打ち込む姿ほど活力に満ちたものはありません。立志これは発心、実行に踏み出す決心、成就しようとする持続心、目標に向かっていく心の働きが、人間を大きくしてくれるのです。
(3)友と交わり 共に育つ
人間の社会は「共に生きる」「共に育つ」と言う共生の大原則があります。最近、その大原則が揺らごうとしているのを憂慮します。吉田松陰先生は先の士規七則で「交を択び以って仁義の行を輔く」と訓えられました。ともすれば人間関係の希薄になりがちな今日です。この訓えを胸に刻みたいものです。
(4)自然と交わり 自分を磨く
「かがやきを/さらに青葉に添えていく/五月の雨は美しと/つぶやきたまいし母なりき」サトウハチローさんはこう謳います。母から子へ伝承された自然の生命、自然の潤いに目を開き、自然の語りかける声に耳を傾け、私達の祖先が、四季折々の変化の中で磨いてきた感性を更に磨いていきたいのです。
(5)社会と交わり 自分を高める
『ふく鍋隊の提供する一椀のふく汁。受け取る人々が一様に「有難うございます」と手を合わせて拝むのです。この姿を見て感謝や奉仕の本質に初めて触れた思いがして心の底から魂が洗われるようでした』多くは申しません。阪神淡路大震災の時、ボランティア活動に参加した若い教員の述懐です。
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