実践指導事例 (本時案)
(1) 題材名 『私たちの伝統文化』( 日本の思想文化のルーツを探る)
         −「論語」−
(2) ねらい 漢文の読みに慣れ、孔子の生き方やものの考え方についての理解を深めるとともに、言葉の真の意味を知り、自分の考えをまとめる。
(3) 題材設定の理由
〈めざす生徒像〉
・訓読文を繰り返し音読することによって漢文の文体に親しみ、漢文独特のリズムや言い
 回しを味わう。
・各章句の言葉にこだわり、深く言葉の真の意味を考えることにより、孔子の生き方・も
 のの見方や考え方をとらえる。
・孔子の学問や人間に対する深く豊かな思想を実感する。
・論語の文言を基に、自分の考えをまとめる。
〈教材観〉
「論語」は、孔子の言行、及び、門人や当時の人々との問答を中心に、孔子の死後、何代かにわたって編集されたものである。日本に伝来した後は、日本人の公的および私的生活と密接に関係している。公的な礼儀や倫理の基準を示すだけでなく、いかに生きるかの道しるべにもなってきたように、日本人のものの考え方(思想・学問)の上に大きな影響を与えてきた。その中の多くの文言が、話や文章に引用され、今日でもいろんな機会に表現されている。教材「学びて時にこれを習ふ」は、そんな「論語」から中学生に適切な章句を五つ選んだものである。それらはいずれも格言・故事成語として有名なものであり、簡にして要を得た表現に人間の生き方についての鋭い洞察や深い思索がこめられている。
〈指導観〉
中学三年生は、自分の将来についていろいろ考え、自分なりの考えを打ち出そうとする時期である。そんなこの時期に、「論語」はさまざまな啓示を与えることになると考える。人類の叡智として定着している各章句の意味を繰り返し音読することによって、漢文独特の言い回しに慣れ、古典の世界に親近感を持たせるとともに、孔子の生き方・ものの見方や考え方について深く考えさせたい。また、それぞれを、一方では孔子の生き様としてとらえ、また他方では自分の問題として考えてみるように指導したい。
(4)学習過程(3時間扱い)
学習内容・学習活動 教師の手だてと評価
 日本人のものの見方・考え方の源について考えてみる。
日本の思想文化に影響を与えた論語の文言を紹介する。(故事成語など)
学習内容・学習活動 教師の手だてと評価
授業風景
 訓読文を繰り返し読み、リズムや言い回しに慣れると共に、意味を確かめる
授業風景
 孔子の生き方・ものの見方や考え方の特徴をとらえ、ワークシート(1)、(2)に記入する
授業風景
「論語」の考え方について感想を持ち、ワークシート(3)に記入する。
授業風景
「私たちの伝統文化」の一つとして、日本人のものの見方・考え方の源をさぐると共に、その思想についてじっくり考えさせたい。
「論語(本文)」(訓読文)を提示する。
音読を通して、漢文独特のリズムや言い回しを味わわせる。
各章句の意味を、注釈や漢文の訓読の仕方を参考に確認させる。
漢文独特のリズムを味わいながら、すらすら読んでいる
【読む1・言語2:音読・自己評価表
孔子と論語について資料集を参考にまとめさせ、孔子の人柄をとらえさせる
孔子ってどんな人? 調べてみよう。
(出身・人生・考え方)
論語ってどんなもの? 調べてみよう。
(いつ・誰が・内容は?)
章句1〜3、章句4〜5の中から、各自で一つずつ気に入った言葉を見つけさせる。
学問に対する考え方や心構え(1〜3)
人間としての生き方(4〜5)
言葉にこだわり、深く言葉の意味を考えている
【読む2:ワークシート・自己評価表】
(5) 題材の評価規準表
題材の評価規準 十分満足できる おおむね満足できる Cの生徒への手立て
【書く能力】
「論語から学んだこと」という題で学習の成果をまとめ、日常生活の一場面を振り返って、自分なりに表現している。
日常生活と具体的な文言との関わりを言及した上で、感想や自分の意見を自分なりに考えて表現している。
自分の言葉で、感想や自分の意見を表現している。
文言の内容を自分なりに言い換えさせ、まとめさせる。
【読む能力】
繰り返し音読をして、漢文独特のリズムや言い回しの美しさに気づく。
孔子の生き方や考え方を読み取り、深い思索や豊かな感性に触れ、自分の生き方や考え方を振り返りながら、古典を味わおうとしている。
範読と同じリズムですらすらとしっかり声に出して読んでいる。
孔子の深い思索や人間観などをもとに、自分のものの見方や考え方と比較しつつ、人間の生き方や考え方に対する理解を深め、自分の意見を持っている。
しっかりとした音量で読んでいるが、部分的に読み間違っている。
孔子の考えや人生観を読み取り、自分なりのものの見方や考え方が持っている。
漢文独特のリズムや言い回しについて、音読の際の課題を明らかにして繰り返し音読させる。
孔子が何を言おうとしているかを、ノートに書かせる。分からない語句の意味については補足する。
【言語の知識・理解・技能】
漢文独特の言い回し、訓読文や書き下し文について理解しすらすらと音読している。
漢文の基礎知識や表現技法について理解し、訓読文を見てすらすらと音読している。
漢文の基礎知識を理解し、書き下し文を音読している。
「漢文を読む」を参考に、漢文独特の言い回しに注意しながら繰り返し音読させる。
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