自分から情報を求めて呼んでいく説明的文書の指導T 〜第3学年〜
1.単元名 自分から情報を求めて読んでいく説明的文章の指導U
「地球環境の今を考える −金星大気の教えるもの』(伊藤和明) −」
2.単元の目標 さまざまな時代の人々の思いを想像しながら古典を味わい、広く伝統文化を紹介する。
 社会に出たとき、私たちが一番多く読む文章は説明的文章である。説明的文章を読むとき、私たちは、意識、無意識はあるにせよ、そこから何らかの情報を得ることを期待して読むことが多い。逆を考えれば、生徒が主体的に説明的文章を読んでいくためには、生徒自体の情報を求めていきたくなる、情報を得たいという心をくすぐるような、読む必然性を感じさせる授業の工夫が必要になってくるであろう。そこで、説明的文章の指導として、次の3点に着目した授業を試みた。
「問い」を見つけることから「読み」に向かうエネルギーは生まれる。
大まかな全体構造をつかむことで新たな「問い」が生まれ、「読み」が深まる
子どもの「問い」と「読み」は常に変化している。
矢印
 説明的文章を前にして生徒が「なぜ」という「問い」を見つけることは、それ自体が「読み」であり、生徒に主体的な「読み」に向かうエネルギーを生み出す。そして、そのためには、まず作品の構造を大きく把握させることが大切になってくる。生徒個々が全体構造を知ることでその教材の持つ大きな柱が浮き彫りにされ、題名から、あるいは生徒の初発の感想から生まれた「問い」が確固たるものとなってくる。そのことが書き手の立場や意図に迫る「読み」を保障することにもつながっていくと考えている。
 また、「生徒が主体的に読んでいく」ための指導の中で、「小さく尋ねると部分に目がいく、大きく尋ねると生徒がさまざまに考える」ということに気づいた。「大きく尋ねる」ためには、座席表に生徒の感想を整理してつかむことや、大まかな全体の構想・展開の把握が大切になってくる。
 特に今回は、第一の層、第二の層の読みを中心においた第1学年の説明的文章の指導を踏まえて、その学習方法を使いながら、さらに第三の層に向かう授業を考えた。
<参 考> 情報を読む
(1)第一の層・・・ 何(内容……事柄・要旨)が書いてあるかという読み
(2)第二の層・・・ どのように書いてあるかという読み
(3)第三の層・・・ なぜそのように書いてあるか、筆者の述べ方を問題とする読み
(何を切り取ってきたか、なぜそのように切り取ったか)
第三の層 ←中学三年間で目指す「読み」
 特に(3)の読みの力をつけていくことが主体的な読みを促すことになると考える。そのためには、まず、構造を意識させることから始める。そして、構造上に生徒の疑問を位置づけさせる。そうすることにより、生徒 一人一人に「読み」のエネルギーを抱かせることになると考える。
 *『金星大気の教えるもの』(伊藤和明)における「三層の読み」について(説明)
3. 学習材のとらえ方 【「金星大気の教えるもの」 伊藤和明 出典:平成9〜12年度光村図書版3年 】
(1) 生徒は地球の環境問題を自分たちの問題としてとらえ、強い興味・関心をもっている。
 「金星大気の教えるもの」を一読した生徒の初発の感想には「今後、自分たちは地球に対してどのようなことができるのか。」「地球の温暖化をどのようにしたら防げるのか」「みんなは地球の環境についてどう考えているのか」等の意見が多くあった。生徒たちにとって地球の環境問題は自分たちの問題であり、生徒たちはそれについてもっと情報を得、互いに意見交換をしながら共に考えたいと思っている。
(2) グローバルな視点から地球環境の問題をとらえている筆者のものの見方を考えることで、生徒が興味をもって主体的に読み進めていくことができる教材である。
 本学習材「金星大気の教えるもの」は、二酸化炭素を視点として、「明けの明星」とよばれて人々に親しまれてきた身近な星「金星」と「地球」を対比させながら、地球環境とその結果である生命の誕生がいかに「すばらしい偶然の産物」であったかを説明している。そして、二酸化炭素の増大による「温室効果の極限の状況」である金星を「地球への大きな警告」として受け止めることの必要性を訴えている。生徒たちはすでに一学年の理科の学習で金星について情報を得ている。また、一方で地球環境の問題は、極めて今日的な緊急の課題として種々の情報が生徒の周りにはあふれている。そうした生徒たちにとって、地球環境の問題を金星との対比というグローバルな視点からとらえている本学習材は、「地球人として今どうあるべきか」を考えながら、興味をもって主体的に読み進めていくことができる好教材である。
(3) 自分から情報を求めて読んでいく生徒を目指したい
 本学習材の題名「金星大気の教えるもの」は、「いったい金星の大気が何を教えているのか」という問いをもたせるものになっている。そして、その問いを考えることがそのまま 地球の環境問題に対する筆者の考え方を探ることにつながるのである。そこで、指導においては、まず題名からイメージすることを発表することにより、生徒の興味・関心を喚起するだけでなく、自然に読みの視点・方向をもたせたい。そして、生徒一人ひとりの初発の感想や内からの「問い」を生かした学習課題の設定を心がけたい。それが「生徒が主体的に読みに向かうエネルギー」を生み、ひいては筆者の論の展開やものの考え方に迫る読みにつながると考えるからである。
4.学習計画 (総時数8時間)
(1) 「問い」をもたせる段階 音読を繰り返した後、初発の感想をまとめる)…………………………1時間
(2) 「問い」を確かにする段階 (初発の感想を交換しあい、大まかな全体の構想・展開をつかむ)……1時間
(3) 「問い」に基づく「読み」の段階T (全体の構成・展開をつかみ、学習課題を絞り込む)……………………3時間
(4) 「問い」に基づく「読み」の段階U (学習課題の追究を通して、筆者の主張をとらえる)……………………2時間
(5) さらに「問い」をもたせる段階 …………………………………1時間
学習内容 及び 活動 教師の手だて 評価
1次
(1)  題名から内容を想像する。(個人→発表)
(2)  音読をする。(4〜3人班での音読)
(3)  感想をプリントに書く。
(3)  授業後、プリントを回収し、座席表に生徒の感想を整理しておく。プリントは次時までに生徒に返す。
自分が題名から想像した内容や初発の感想をしっかり書いている。
【ノート、プリント】
2次
(1)  初発の感想を発表する。
(2)  発表を聞いてノートに、気づきや疑問をメモする。
(1)  生徒にはノートはとらせず、意見をしっかり聞くことに集中させる。板書内容は、次時にワークシート1にして配布することを生徒に告げる。
大まかな全体の構想・展開の把握ができるように、構造的に板書を行う。(以後3次も同じ)
発表にしっかり耳を傾けている。【観察】
気づきをメモしている。【ノート】
学習内容 及び 活動 教師の手だて 評価
3次
(1)  ワークシート1をもとに前時での学習を確認する。
(2)  さらに初発の感想や気づきを発表し合う。
(3)  全体の場に出てきた疑問や気づきについて意見交換をする。
(班での話し合い→全体発表)
(4)  全体で考えたいこと(学習課題)を絞る。
(1)  ワークシート1を配布する。
班での話し合いや全体発表を聞いて、新たに気がついたことや、疑問などはワークシート1にメモをするように指示する。
(2)  生徒の疑問や意見については、教師が生徒全体に投げかけていく。
班の話し合いの時、大きな声で自分の感想を発表している。
【話し合い】
気づきをメモしている。
【ワークシート】
4次
4つの学習課題を追究し、筆者の主張をつかむ。
資料ページに詳細指導案掲載
生徒の疑問を別黒板等に書き出しておき、常に意識できるようにしておく。
5次
(1)  読後の気づき(なお残る問題・みんなと一緒に考えたいこと等) を書き、発表する。
(2)  読後の気づきについて、今後の学習の方法や方向を話し合う。
班の話し合いの時、大きな声で自分の感想を発表している。
【話し合い】
読後の感想をしっかり書いている。
【プリント】
5.評価規準
評価規準B
【国語への関心・意欲・態度】
「金星大気の教えるもの」の内容について、興味・関心をもって読み進めようとしている。
【読む能力】
金星の話から地球の温暖化への話の展開をとらえている。
感想から出た問いや気づきについて、その答えの部分を探し、書き出している。
わけがら読みのうち、「金星大気の教えるものとは何か」について、その答えを自分なりに書き出している。
【言語についての知識・理解・技能】
指示語や接続語及びこれらと同じような働きをする語句などに注意している。
Aの具体例
文章の中心的な部分と付加的な部分、事実と意見、問いと答えの部分をとらえている。
「わけがら」に関わる内容(筆者の話の展開、述べ方の工夫)をとらえている。
Cへの手だて
1年次に学習した方法(ノートに各段落の書き出しを抜き出す作業)を行い、大きな話の流れをつかみやすくする。
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