幼保
[平面]
- 年少・幼児の作品は「子どもが感じたことや考えたこと、生活の中でイメージしたことを自分なりに表現して楽しんでいるか」という視点を大切にして、表現を見取った。
- 年長の作品は、描きたいことがたくさんあって、イメージを繰り広げながら丁寧に細部までこだわって表現している絵がたくさんあった。
- 子どもの思いがしっかり表れている絵はとても魅力的であった。
- 運動会や芋掘りなど概念的になっている絵があり、パターン化されているようにも感じた。
- 使い慣れている身近な画材を使って、自分なりに描くことを楽しんでいる絵画がたくさんあってよかった。
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小学校
[低学年・平面]
- 全体的に色がきれいで、明るくのびのびとした子どもの姿がうかがえた。低学年でありながらも、立体感や遠近感を感じさせたり、にじみや重ね塗りなど多様な技法が使われていたりと、指導が行き届いている作品が見られた。
- 題材については、行事の少ない中、教科書の教材を自分なりにアレンジしたものがあったり、身近な物から題材をみつけたりと、いろいろな工夫が見られた。
- つぶやきながら絵を描き進んでいる子どもたちの様子が、作品の人物の豊かな表情や身体の向きに表れている楽しい絵が多く見られた。
- 子どもの感動を、しっかり手や体を使ってダイナミックに表現している絵が少なかったように感じた。
[中学年・平面]
- 3年生は、のびのびと勢いがあり、比較的単純な構図で思いのままに描いている作品が多く見られた。4年生の作品は、発達の段階の違いから、3年生と比べて写実的に描こうとしていることが分かった。重なりや遠近を表そうとしたり、画面の中に表したいことをうまく配置したりするなど、構成を意識し始めていることが感じられた。着彩についても、画面上で色を重ねたり、黒の組み合わせや色の置き方を考えたりしている作品があった。
- 偶然できた色や形、材料から発想してできた作品も増えてきている。
- 低学年に近いのびやかさや明るさのある3年生から、高学年に向かう緻密さや計画性の芽生え始める4年生の違いが感じられた。
[高学年・平面]
- 全体的に技法や構図を工夫した絵や、色を大切にした透明感を生かした作品が多く見られた。低学年からの丁寧な指導の積み重ねを感じた。
- 6年生は校舎や教室の絵が多かったが、自分との関わりを感じさせる絵には魅力を感じた。タイトルの付け方に工夫が必要である。
- 台紙の色の選び方で作品の印象が大きく変わることが多い。台紙も作品の一部という意識をもつことも必要である。
- ペンとえんぴつ、ペンの太さの工夫により、遠近や強調したいものが伝わる。このような指導も大切である。
- 地域ならではの題材には魅力があり、子どもたちのふるさとを愛する思いを育てるためにも大事にしたい。
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中学校
[平面]
- 本年度は、新型コロナウイルス感染症対応で、予備審査を各支部で行う形となった。そのため、例年とは異なり多様な作品が入賞している。
- 新型コロナウイルス感染症の影響としては、マスクを着けた自画像や密をテーマにした作品などがあった。
- その他の傾向としては、タブレット端末等で集めた資料画像を活用したと思われる精密画や、ゼンタングル(ペンで仕切って模様で埋めていくようなパターンアート)の作品が多く見られた。一方、臨時休業校等の影響で時間の都合もあるのか、版画表現の作品が少なかった。
- 3年生は風景画が少なく、自画像やしっかりと描きこんだ作品、イメージを合成させた作品が多かったように感じた。
- 生徒自身が「表したい思いをどのように表現したか」を考え整理する意味でも、題名だけでなく作品に対する思いをもっと書いてほしい。
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特別支援(特別支援学校・支援学級)
[総合の部 平面]
- バラエティに富んだ力作ばかりで、大変悩ましい審査であった。小学校は生活や学習活動の中での体験を通した主題表現や、与えられた条件やテーマから発想を広げた力作が目立った。
- 小学校の高学年から中学生では、身近な対象を見つめて表現した静物画や風景画が見られ、年齢が上がるごとに大胆さや繊細さが際だった表現のものがあった。平面構成にも優れた作品が見られた。
- 特別支援学校の作品は、感性が豊かで、他の誰にも表現できない異彩を放った芸術性の高い表現が多かった。
- 版画(ドライポイントや紙版画)も少数ながら出品されていた。従来の展覧会の在り方も変わりつつあるので、年間指導計画を見直し、版画も積極的に出品されることを期待する。
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高等学校
[総合の部 平面]
- コロナ禍という状況により、平面の部のみの審査となったが、バラエティに富んでおり、作品の質も例年同様の作品が出品されていた。
- 一つの学校から一定のクオリティを保ちながら多様な作品が出品されている学校があり、制作に対する意欲の高さを感じた。逆に、一つの学校から同じような技法やテーマが出品されている学校については、多数の入賞は難しく、「生徒の思いが本当に作品に表現されているか?」と考えた。指導者が教え込むことではなく、見守りながら伴走することを心がけたい。
- 審査会では、技法よりも目の前に見えている以上の物語を作品から感じることができるかという視点で審査しており、そういった作品が上位入賞を果たしているように感じている。
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