実践を終えて

 本校の近くには、地層を観察できる場所がなく、現地での地層の観察はむずかしい。そのため教科書や映像資料に頼ることが多くなるが、それだけでは、学習が漠然としたものになり、単元に対する関心がもちにくいと考えた。
 そこで、導入段階で、化石に視点を当て、そのレプリカを自分でつくるという活動を通して、大地のつくりに思いが広がるようにした。
 子どもたちは、化石標本を観察する段階で、化石に対する強い関心を示した。化石のレプリカをつくる活動にも熱心に取り組み、その過程で、化石に対するいろいろな疑問をもったり、思いをふくらませたりしたように思う。それが次の活動への意欲につながった。ここでは、ペットボトルでの堆積実験(分粒実験)を班ごとに行ったが、入れた土や砂などが、ペットボトルの中できれいな層になったことに驚いていた。実験の結果と自然界で見られる現象とを関連付けて考えることができたのではないだろうか。
 選択単元については、子どもたちが自分の意志で、「火山活動による変化」または「地しんによる変化」を選択することも大切だと思うが、地域の特性から考え、教師サイドで「火山活動による変化」を選択した。実施にあたっては、その理由を子どもたちに十分説明して学習に入った。この単元では、ゲストティーチャーを招いて、萩市周辺の火山活動による大地の変化について話をしていただいたり、モデル実験を通して、火山の噴火による大地の変化について教えていただいたりした。授業が終わって子どもたちが書いたお礼の手紙を読んでみると、「自分たちの身近にある火山が、世界的にも非常にめずらしいことを知って驚いた。」とか「すぐそばにある笠山という火山についても、見る目が変わった。」などという内容の手紙を書いた子がたくさんいた。地域の特性を生かして教材化したことは、学習と日常を関連付けることにもなり、生きた理科学習になると感じた。

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