実践
小学校算数: 量の大きさについての感覚を豊かにする  2年
〜算数的活動を通して、普遍単位の必要性に気付く〜
1 学年及び単元名
第2学年 長さしらべ
2 単元のねらい
長さについて理解し、簡単な場合について、長さの測定ができるようにする。
※単元の評価規準表
3 指導のポイント
@学習環境づくりの工夫
  魚釣りの場の設定
  直接比較できない場を設定
  算数的活動を促す具体物の配置

A算数的活動を通して普遍単位の必要性に気付かせる工夫
 1年の「ながさくらべ」
  直接比較や媒介物を利用した間接比較
  任意単位(おはじき、数え棒)による計測の経験
 2年の「ながさくらべ」
  任意単位による計測・・・・・曖昧さや不便さの実感
                普遍単位の必要性やよさに共感
  ものさしの活用・・・・・・・普遍単位(cm,mm)の活用          

B計測場面での個に応じた指導の重視
  正確に長さを測る活動
  正確に直線をひく活動

C数量の感覚を豊かにする工夫
  10pの幅を実感する。
  実測の前に長さの見当を付ける。
4 指導計画(4時間)
第1次 つったさかなの長さをしらべよう・・・・・・・・・・(3時間)
    ・任意単位による長さの測定と普遍単位の必要性 ★(※本時1/3,2/3) 
    ・長さの単位(p)を使った測定    
第2次 ものさしをつかって、長さをはかろう・・・・・・・・(4時間)
    ・長さの単位(o)
    ・ものさしの目盛りの読み方
    ・身の回りのものの長さ    
    ・長さの加減計算 
第3次 たからさがしをしよう・・・・・・・・・・・・・・・ (1時間)
    ・長さの総合問題                   
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5 指導事例  「むこうぎしの人とつったさかなの長さをくらべよう」
@学習環境づくりの工夫(教室全体を使った場の設定)
 
直接比較が不可能である。
ひもなどの媒介物による比較が不可能である。
比較の方法を工夫する必要がある。
任意単位が同一である必要性を確認する。
任意単位で表現できない不便さを実感する。
A:もしもし、私の魚はお花が10個分の長さだったよ。
B:私の魚はお花16個分の長さと少しだよ。
A:おかしいなあ。こっちの岸から見たら長さはあまり違わないみたいなのに・・。
B:私はピンクの花を並べたよ。
A:私は青い花が10枚分の長さだったよ。
B:同じ花を並べて比べないといけないね。
A:私もピンクの花を並べるね。でも、ぴったり○個にならなかったらどうしたらいいのかな。
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任意単位の活用として促す。 
魚釣りの川岸の環境にマッチしている。
児童の思考状況を考慮して花や落ち葉を提示する。
花(2種類)
おはじき、数え棒
葉っぱ (2種類)
1年生のときに任意単位として使ったものを選んだ。
A算数的活動を通して普遍単位の必要性に気付かせる工夫
   青い花を魚の中央線に沿って、まっすぐ並べてその数を数えて比較した。
    青い魚・・・青い花9個分
    赤い魚・・・青い花10個分         赤い魚の方が青い花1個分長い。
 黄色の葉っぱを並べて比較した。はじめは中央線上に並べていなかったが、近くの友達の方法を見て、中央線上に葉っぱの先を合わせて並べた。端下の部分にはおはじきを並べて比較した。
   青い魚・・・黄色の葉っぱ6枚分
   赤い魚・・・黄色の葉っぱ6枚分とおはじき2つ
   赤い魚の方がおはじき2つ分長い。
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 おはじきを並べて、その数を数えた。
 青い魚の端の長さは、おはじきを立ててその幅で測ろうとした。
 赤い魚・・・おはじき21個と
       おはじきの幅2個分
 青い魚・・・おはじき8個と
       おはじきの幅2個分

 赤い魚の方がおはじき3個分長い。
数え棒を使って、長さを測った。端の長さをおはじきと葉っぱで測ったので、どのくらい長いのかを表現することが難しくなった。
      赤い魚・・・数え棒4本とおはじき1個分
      青い魚・・・数え棒3本と緑の葉っぱ1枚分
 話し合いにより、葉っぱじゃなくておはじきを使えばいいと意見がまとまったので、全体の場で端の長さをおはじきで測ってみた。しかし、ちがいを求めるのは難しかった。
B数量の感覚を豊かにする工夫
  ○ 10cmはどのくらい?( 左右の人差し指で10pの幅をつくろう)
  ○ 自分の指の幅は何センチメートルかな?(しゃくとり虫の長さをはかろう)
○ 身の回りのものの長さを測ってみよう。
        (ものさしを使って長さを測る前に、見当をつけよう。)
6 授業を振り返って
 
 魚の長さを直接比較できない場を設定したことによって、子どもたちは媒介物を使った比較を考えた。さらに、媒介物を限定したことで、任意単位による測定を行い、普遍単位の必要性を感じていたように思う。
 学習を深めるためには、ある程度条件を限定する必要がある。それを場面設定の中で、自然な形で行うことがポイントである。特に低学年は、具体物を使った操作活動を取り入れることが多いので、学習環境としてどんな具体物を整えておけばよいのか考えることが大きな支援になると思う。
 二人組で選択した任意単位を使って長さを調べた時、端下の長さを「葉っぱの半分くらい」という表現をするものと予想していた。予想通りの反応を示した児童もいたが、より小さな単位となるおはじきを使って、端下の長さを表そうとした児童の発言を聞いて、もっと正確に表す方法のよさを感じたようだった。また、使った単位によって数値が異なり、長さの違いも表現しにくい場合があることを知って、任意単位による測定の曖昧さも感じ、1cmという普遍単位の生まれた意味やそのよさを十分に感じることができたと思う。この普遍単位の必要性の実感は、基本的な数量の意味理解につながるものである。。
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