1 学年及び単元名
第4学年  1/8ピザじゃんけん争奪戦
2 単元のねらい
 端数部分などを表すのに分数を用いることを知り,分数(仮分数、帯分数を含む)の意味や表し方を理解する。
3 指導のポイント
○分数概念の理解を図る手立て
 「n等分に分けたものの1つ分の大きさを1/nと表す」
 分数の概念を学習するとき、「量の大きさを表す分数」から導入を図ることが多いが、子どもたちが初めて学習する分数の概念を理解しやすいように、本単元では、「1/nがn等分に分けたものの1つ分の大きさを表す」というとらえ方から導入した。
 下の図のように、1つの円をピザに見立て、子どもたちに4、6,8等分したもののうちから1つを選ばせる。その後、、元の1枚のピザの大きさにするために同じ仲間を求めて集まる。だが、集まっても1枚にならないピザがある。そこで、1枚にならなかったピザをどうやって表すかが、子どもの課題となっていく。
 ここでは大切なことは、「同じ大きさのピザが何枚集まることで1枚になるのかを見つけること」である。
○意欲化につなげる学習課題の工夫 〜1/8ピザじゃんけん争奪戦〜
やりかた
 1 1人が1/8ピザを8枚ずつ持つ。
 2 友だちとじゃんけんする。勝ったら1/8ピザを1枚もらえる。
 3 3分間、何度じゃんけんしてもよい。ただし、手持ちの1/8ピザが1枚になったら終わりとする。
 4 たくさん取った人の勝ちとなる。
  ※じゃんけんは、例えば4人で1枚ずつ出し合って、1番勝ちが全部もらってもよい。

 このゲームでは、子どもたちが楽しみながら学習を進めることができ、学習への興味・関心を高めることができる。また、勝敗を決める過程で、様々な分数の概念を学ぶことができる。
○教材開発としての価値 〜1/8ピザじゃんけん争奪戦〜
 このゲームは、作業的な算数的活動や探究的な算数的な活動をする過程で、
1 1/8ピザを数える活動を通して、単位分数のいくつ分という見方を定着させることができる。
2 台紙に貼ることを通して、その貼り方によって仮分数や帯分数の概念を作っていくことができる。
3 1及び1よりも大きい数についても、単位分数のいくつ分という考え方を身につけることができる。
4 分数の大小や、仮分数、帯分数の換算の理解が容易になる。
4.指導計画(8時間)
第1次
分数の概念・・・・・・1時間
分数の表し方・・・・・1時間
第2次
仮分数と帯分数・・・・2時間★(※本時案1/2)
数としての分数・・・・1時間
分数の分類と大小比較・1時間
帯分数、仮分数の換算・1時間
第3次
まとめ・・・・・・・・1時間
5.指導事例
1/8ピザじゃんけん争奪戦
 本時は、1/8ピザをじゃんけんで取り合うことで、8/8ピザ以上になるときのピザの大きさの表し方として仮分数で表すことがねらいである。
(1)1/8ピザは何個とれるかな
1/8ピザじゃんけん争奪戦のルール

1 1人が1/8ピザを8枚ずつ持つ。
2 友だちとじゃんけんする。勝ったら1/8ピザを1枚もらえる。
3 3分間、何度じゃんけんしてもよい。ただし、手持ちの1/8ピザが1枚になったら終わりとする。
4 たくさん取った人の勝ちとなる。

※じゃんけんは、例えば4人で1枚ずつ出し合って、1番勝ちが全部もらってもよい。
指導のポイント
 自分の取った1/8ピザを、台紙に貼る。このとき、子どもたちの貼り方が、分数の表し方につながっていく。例えば、1枚の円を作るようにピザを貼る子は、帯分数の方が分かりやすいのである。 

(2)ピザの大きい順に黒板に並べて貼ろう
 ピザを貼り終えた子から、磁石を使って黒板の好きなところに貼らせる。すると、皆が決まった貼り方をしていないために、自分が何番目か分からない。
 この中で目をひくのは、丁度1枚になったピザである。それを黒板の中心に貼り、大小を考えて七並べのようにもう一度みんなで貼り替えることにした。

指導のポイント
 七並べのようにすることで、真分数を集めることができる。そして、8/8枚以上のピザについての表し方を課題にしていく。
(3)1/8ピザが12枚あることを数で表せるかな。
 8/8枚を1枚と数えることは、第1時のときに学習している。
 勝敗は見てすぐに分かったのだが、問題なのは「1より大きいピザをどれだけと表したらよいか」ということである。
指導のポイント
 1より大きい分数を初めて扱う。子どもたちも、1より大きい分数の表記は迷いやすいので、根拠をみんなで探りながら表したい。そのとき、1枚という8/8枚としっかり比べていかなければならない。単位分数のいくつ分の考えを大切にして仮分数にしていく。 


(4)ピザを仮分数で表してみよう。
 仮分数の表し方が分かったら、上位5位までを仮分数で表してみたい。
 
 次の時間は、他の表し方を考えていくことになる。(帯分数の考え方)
 帯分数への導入は、14/8枚を1/8枚ずつ大きくしていきながら、21/8まで仮分数で表していく。そして、「いつピザが2枚になったかな」と考えさせていきたい。
指導のポイント
 ここでは、大きさの順序が分かりやすいということで仮分数の表し方を学んでいくのであるが、帯分数の考え方も出てくる。帯分数の考え方も認めてやりながら、大きさを表すよさとしての仮分数の表記に目を向けていかせたいのである。
6.授業を振り返って
 子どもたちは、ゲームに意欲をもって臨む。大切なことは、そのゲームが終わってからである。つまり、「いかに、1を越える分数のことを思い考えていくか」なのである。
 そのためには、どのようにその後を展開して意欲を持続しながら算数的な価値を含む練り合いをしていくかにかかっている。
 この授業では、子どもたちが単位分数の考え方を根拠にしながら分数で表していこうとしていた。それは、1(=8/8)を出すことにより、順序を意識していったからである。そして、1(=8/8)を示すことにより、1より大きいものも小さいものもどちらも分数で表して順序を出していこうとしたからである。
 子どもたちの分数に表していこうとする力を引き出すには、このゲームは有効であった。
Menuへ TOPへ 次へ