1 学年及び単元名
第4学年  変わり方
2 単元のねらい
 入れる水のかさの変化に伴って変わる数量(深さ、重さ、残りの水のかさ)を見つけ, 二つの数量の変化を表やグラフに表して特徴をつかむことができる。
〔※単元の評価規準表〕
3 指導のポイント
○課題の工夫〜花びんに入る水の変わり方を学習〜

 変わり方を学習するために、花びんに入る水を使うことにした。花びんは,いろいろな形があり,外から見てもどれだけ入ったかわからないものもある。それに、入れた水のかさと、伴って変わる深さや重さや、「後どれだけ入るか。」という残りのかさとの関係を表やグラフに表せば、変わり方は花びんの形状に沿ったり沿わなかったりしておもしろい。複数の花びんを使えば、形状に興味をもちながら知的探究心をさらに高めていくことができる。

○課題選択学習〜四つの花びんで4コース〜


 形が違えば、水を入れることで深さがまちまちになる。それを見て、子どもたちは「花びんの形の違いにしたがって、伴って変わる数量の変わり方が違うのではないか。」と考えやすい。
  そのため、自分の選んだ花びんの形状と、入れた水のかさに伴って変わる数量の変化が課題となっていく。そして、入れた水のかさの増加に伴って変わる数量(深さ、重さ、残りの水のかさ)の関係を調べていきたくなる。
  花びんの数であるが、4名指導者(学級担任3名とSS担当教諭1名)がいたので、四つにした。 花びんの形状は、特徴的なものを選んだ。
  写真は使用した花びんで、左から@壺の形、Aスナフキンの帽子の形、B青とんがりの形、Cおちょこの形と名付けた。
○関数の考え〜二つの数量の間の依存関係〜

  関数の考えとして、ここでは「ある数量が決まれば、他の数量が決まるかどうか。」という点をまず育てていきたい。花びんに水を入れることで、入れた水のかさという数量に対して深さや重さや「後どれだけ入るか。」という残りのかさなどの数量が決まり変わってくる。深さは、花びんの形に依存して変化していくが、重さや残りのかさは花瓶の形には依存せず入れる水のかさに依存する。かさと重さの関係は一定の増加の変化となり、かさと残りのかさの関係は一定の減少の変化となるのである。
○グラフの掲示〜4コースのグラフの比較〜
 四つの花びんの特徴とそのグラフを比較することで、一つの花びんのみでなく、大きな見方をうながす。
 かさと深さの関係は、花びんの形に大きく関係している。
 重さや残りのかさは花びんの形には、とらわれない。
 このような比較こそ見方を深めることになる。
○課題選択学習での配慮

@ 課題選択学習を計画するには、普段より詳しい打ち合わせ(学習内容の確認、子どもの様子や反応などの情報交換、評価規準の統一等)が必要になってくる。
A どのグループでも、自分たちの選んだ花びんに入れた水のかさを縦軸にし、伴って変わる数量が何に依存しながら変わるのかを目的にして思考の連続化が図られなければならない。
4.指導計画(時間)
第1次   変わり方の課題づくり・・・・・・・1時間(★本時案  1/1)
第2次(課題選択学習)・・・・・・・・・・・・・・・3時間
         ○かさと深さ
        ○かさと重さ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(★本時案  2/3)
        ○かさと残りのかさ
第3次   まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間
5.指導事例
 ここでの課題選択学習では、自分の花びんを選んでいくことが学習の意欲付けになっていく。そのため、課題を見つけて追究するおもしろさの予感をもたせること(目的意識)が大切になってくる。入れる水のかさが増えるにしたがって、変わる数量として深さや重さ、あとどれだけ入るかといった残りのかさを見つけてくる。それらは花びんの形状に依存しながら変化していくのかどうかを調べていくことになる。花びんの形によって異なる変わり方をする数量(深さ)もあれば、花びんの形に関係なく一定の増加や減少をする重さや残りのかさのなどの数量もある。どの変わり方も考えることができるのである。
第1次 オリエンテーション 変わり方の課題づくり
 伴って何が変わったかな。
 コップで1杯,2杯,3杯とゆっくり入れていく。そして「変わったね」と言う。

 初めはきょとんとしているかもしれないが、そのうち、変わったことを発見し始める。
指導のポイント

 意欲付けは、花びんを運んでいくところから始まっている。
 「何が始まるだろう。」という気持ちをもたせるのである。

指導のポイント

 人数に偏りがでたときには、SS 担当教諭が一番多いグループを受けもつとよい。

 デジタルカメラでグループごとの名前磁石を撮影しておくと、 後で名簿にも使える。

 花びん同士を比べて「どのように変わるのか。」という問いをもたせ、変化に着目させる。
 そこで、今日から花びんを選んで、変わり方を調べることを告げた。
 まず、水のかさと深さを調べることにした。花びんの形が違うから、変わり方はいろいろありそうだということが分かる。児童は、持参した名前磁石を、自分の調べたい花びんの名前の下に貼っていった。ここで、指導者の協議をする。誰がどの花びんを扱っていくかをすぐに話し合った。

スナフキンの帽子の形の花びんのグループ

○子どもの移動5分
○指導者の準備物
   担当する花瓶、色水、深さを測る紙
○子どもの反応を大切にして、担当者が授業  の流れを構成する。
指導のポイント

 見えないものを予想することで、興味が倍増する。どこまで入ったか、どの位入るのかといったことから始まり、どんな特徴が見えてきそうかといったことまで考えさせたい。
指導のポイント

 指導者は、初めて出会った子どもたちと心を通い合わせるべく語りかけながら指導していくことが大切である。
 この授業は、第2時に表とグラフに表されていき、水のかさと花びんの形とが関係あることを見付けていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ある日の休み時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 水のかさと深さの関係を学習し終わってから、それをまとめたグラフ(授業中に作成)を少人数教室の廊下に掲示していたら、子どもたちが集まってきた。
 
第3時 かさと重さの関係
 本時は、入れた水のかさに伴って変わる数量として、子どもたちからあがっていた重さとの関係を調べることにした。

指導のポイント

 かさと重さの関係は、 「花びんの形とかかわりがあるか。」という問いにより、さらに意欲的になってくる。 
 子どもたちは、「かさと深さの関係」で、表にまとめたりグラフに表したりする経験をしているので、「かさと重さの関係」についても自分たちでやりたがった。
水のかさ(杯)
重   さ(g )  1540   1730   1930   2130   2320   2510   2720   2930 
 でき上がった表からわかることを見つけていった。
「どうして、このようにまっすぐのグラフになったのだろう」と問いかける。
指導のポイント
 前時の変わり方と比べていくことで、入れた水のかさと重さの関係の変わり方の特徴が顕著になってくる。
6.授業を振り返って
 課題選択学習では、なるべく同じ学習過程が保障されておくことが必要ではないだろうか。というのも、「あの課題を選んだら学習しないことが出てくる。」とか、「この課題を選んだらとかく子どもの考えに合わないことがある。」等は、許されるべきことではない。課題選択学習を仕組むときには、目的意識の連続を保障するためにも課題の吟味が大切である。
 今回の単元の「変わり方」では、どの花びんを選んでも学習すべき内容がある。しかも、子どもたちが選択できる点で、とてもよい題材となった。変わり方についても、花びんの形に沿って変化するものもあれば、一定の増減で形に関係ない変わり方もある。子どもたちも、楽しんで変わり方を調べたり、廊下に掲示した変わり方のグラフを比べて話したりしていた。 SSとして、課題選択学習として成立する数少ない単元の一つとなった。
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