実 践
小学校算数: 数と計算の意味について理解する  5年
1 学年及び単元名
第5学年  分数〜分数カードを使って〜
2 単元のねらい
 分数についての理解を深めるとともに、同分母の分数の加法および減法の意味について理解し、それらを適切に用いることができるようにする。(※単元の評価規準表)
3 単元を組み立てる視点
 4年で、端数部分の表し方を考えるところから分数が導入され、用語やそれらの意味、単位分のいくつ分という見方、数直線上の点との対応、いろいろな分数の種類(真分数・仮分数・帯分数)があることを学習してきている。しかしながら、分数の意味の理解が不十分な児童や量のイメージができ上がっていない児童もいる。分数を理解する上で、数の大きさをイメージしにくいことが一つの障壁として存在すると考えられる。
 そこで、以下の点に留意し、単元を組み立てた。
4 指導計画(12時間)
第一次 分数の大きさ・・・・・・・・・・・・・2時間★(※本時案 1/2)
第二次 分数のたし算とひき算・・・・・・5時間
第三次 わり算と分数・・・・・・・・・・・・・2時間
第四次 分数と小数,整数・・・・・・・・・3時間
5 実践事例
 分数カードで量感をイメージする
 
1〜10までの数で分数カードをつくろう
<条件>
 ・同じ数を2回使わないこと。
 ・分子より分母の方が大きいこと。
                        (※分数カード





  1〜10までの数を使って分数を作り、その大きさを面積図に表す。一人が5枚のカードを作る。
  分数カードで大きさ比べをする
 分数カードで、隣の人と大きさ比べをする。活動の中で、分母が同じものや分子が同じものの
大きさに気付いたり、大きさの等しい分数があることに気付いたりする。
 ・分母が同じ分数の大きさ   
   1  2  3  4  5
   −<−<−<ー<−
   5  5  5  5  5
 ・分子が同じ分数の大きさ 
   1  1  1  1  1  1  1  
   −<−<−<ー<−<−<−
   8  7  6  5  4  3  2  
 ・大きさの等しい分数
   1  2  3  4  5
   −=−=−=ー=−
   2  4  6  8  10
  同じ分母のものを集め、分数階段を作る。学級全体で行い、足りないカードは作っていく。分母が同じ分数、分子が同じ分数の大小を面積図で視覚的に確認しながら、分数の大小関係についてまとめていった。1〜10までの数字を使う場合、カードは全部で45種類である。
  分 数 階 段
分母が同じ分数を比べる
分子が同じ分数を比べる
分数カードの活用により理解できたこと
1   2
−   −
3   3
1   2   3
−   −   −  
4   4   4
1   2   3   4
−   −   −  −
5   5   5   5  
1   2   3   4   5
−   −   −  −   −
6   6   6   6   6  
1   2   3   4   5   6  
−   −   −  −   −   −  
7   7   7   7   7   7  
1   2   3   4   5   6   7
−   −   −  −   −   −   −
8   8   8   8   8   8   8
1   2   3   4   5   6   7   8
−   −   −  −   −   −   −  −
9   9   9   9   9   9   9   9  
1   2   3   4   5   6   7   8   9
−   −   −  −   −   −   −  −   −
10  10   10   10   10  10   10  10  10
 
  
  分数カードを使って計算の仕方を考える
 ジュースが2つのびんに、1/5リットルと2/5リットルはいっています。あわせて何リットルですか。
  本単元では、計算の仕方を図などで表現する作業的・探求的な算数的活動を取り入れた。問題把握の場面では、実際の色水や分数カードを示し、視覚的に計算の仕方を考えるように促す。 児童は、「あわせて」という言葉を手がかりに、分数のたし算であることに気付き、自力解決の場面では、「私は面積図で考えよう」、「ぼくはテープ図が分かりやすい」というように、それぞれの方法で計算の仕方を考えていた。
 <面積図で考える>
     <数直線で考える> <数直線で考える>
            1    2     3         3
            ー + ー  = ー         ー  リットル
             5    5     5          5
 なぜ3/10リットルにならないのかを考える
   図による計算方法の発表により、答えは3/5リットルとなりそうなとき、上のような図を提示した。懸命に「違う」と訴える児童、「もしかしたらそうかも…」と不安になる児童と反応は様々であった。
  3/10をめぐる意見交換の中で、「1/5は1/5の1つ分、2/5は1/5の2つ分というように、単位分数のいくつ分かを考えると、1+2=3という整数の計算に置き換えることができる。1/5が3つ分だから、3/5になる」ということを再確認した。
  6 授業を振り返って 
○  分数カードは、量感覚をイメージしやすく、分数の大小や相等を学習するには大変効果があ
  があった。
○  計算の仕方をどのような図に表してよいか分からない児童にとって、分数カードを示してやる
  ことは、よい支援となった。
○ 分数の加法・減法では、計算の仕方を数直線やテープ図、面積図に表す活動を通して、 「単
  位分数のいくつ分」という考え方が定着し、計算の意味を深めることができた。
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