同じ形を見つけよう!

1 単元名  第3学年 「相似な図形」

2 単元評価規準  hyou_01.pdf へのリンク(別紙)

3 単元設定の意図

 「大きいものを縮小したり、小さいものを拡大したりして、考えやすい大きさにする。」といった活動は、地図や設計図、写真や映画、望遠鏡や顕微鏡、模型など、生徒にとっても身近な存在である。この単元では、このように拡大や縮小を行うときに図形を構成する要素のうち、変化するものと変化しないものに着目して、特に対応する線分の変化の仕方やその関係を分析する。こうした活動により、図形の相似の概念を明らかにするとともに,三角形の相似条件をもとにして図形の性質についての理解をいっそう深めることになる。
 現行の学習指導要領より、それまで小学校の第6学年で学習していた「縮図や拡大図」は、「図形の合同」とともに、中学校での学習内容に統合されることになった。したがって、これまで「拡大したり縮小したりした図形」や「重なり合うことのできる図形」として、「相似な図形」や「合同な図形」の存在や特徴について小学校において多少の学習経験があったといえるが、現行の学習指導要領においては、従来小学校で取り扱ってきた操作活動を取り入れた学習を、中学校でも丁寧に扱いながら相似や合同に関する概念形成を図る必要がある。
 また、中学校での学習内容においても「相似な図形」が、第2学年から第3学年へと移行している。それにともなって、第3学年という発達段階を鑑みると、単元「相似な図形」で扱う論証の課題においては、それまでの数学科の授業や総合的な学習の時間での学習経験を生かして解決できるような、広がりや深まりを内包した課題を用意することも必要である。
 相似と合同に関する学習が、第2学年と第3学年の2学年に渡って行われることで、指導の一貫性が損なわれる可能性があるので、指導に当たっては、特に「面積が等しい図形」と「形が同じ図形」のインタラクションとして「合同な図形」が存在するといった概念の包含関係を意識した指導が必要である。
 この単元の指導において、思考力、判断力、表現力を確かなものにする工夫として、生徒に「選ぶ・並べる・分ける」といった活動を展開することにした。

4 本時案
    相似な多角形 「同じ形を見つけよう!」 (0.5〜2/14)

(1)本時の課題と学習活動の展開について
 本時の学習は、△ABCと同じ形の三角形を9個の三角形から選ぶ活動から始まる。第2学年までの学習で、多くの生徒が、合同な図形は同じ形であることについて理解していると思われるが、ここでは、「合同ではないが同じ形である図形」の存在について確認することになる。生徒は、各三角形が同じ形であるかどうかについて判断する過程で、同じ形になる条件を自ら設定することになる。合同な図形も相似な図形であるといった、概念の包含関係を学習させるために敢えて
△ABCと合同な(2)の三角形を選択肢に用意している。角の大きさや辺の長さの比に着目して「同じ形」だと判断すると思われる。長さの比較が容易にできるように各三角形を方眼の上に作図している。こうすることで角度についても分度器を使うことなく、第2学年で学習した(高さ)/(水平距離)=(直線の傾き)の知識を利用して、角度を比較することもできるようになっている。(3)、(7)は、△ABCの各頂点と対応する頂点を見つけだす必要があり、関係記号“∽”の使い方の理解につなげる。(3)、(8)は、辺の長さに関する分析が困難であるため同じ形であるとすることができないであろう。この場合、角の大きさを手がかりに考えるように指導し、多角形の形を構成している要素には辺と角の2つがあり、いずれかを分析する必要があることに気付かせる。同じ形であることの根拠に、三角形の高さなど辺以外の線分の比にも着目する生徒がいると予想される。「対応する辺の長さの比が、すべて等しい。」ことに留まらず「相似な図形では、対応する線分の長さの比は、すべて等しい。」として、相似な図形の性質についての理解を深めさせる。
グラフ
グラフ

(2)主 眼
 与えられた三角形と同じ形を図形群から見つけだす活動から、相似な図形の定義に関心を持つことができる。
 三角形の辺や角の大きさを使って“多角形の相似”の概念を説明することができる。

(3)学習過程
hyou_02.pdf へのリンク