授業の実際2:水よう液の中で溶けていった金属はどうなったのだろう |
子どもたちは、水溶液の中で、金属が溶けていく様子を非常に興味をもって観察する。試験管の中で金属が溶けていく様子が目にみえてわかり、試験管にふれると熱くなることにも驚く。水溶液に秘められた不思議な力のようなものを感じるのだろうか。それまで以上に水溶液の扱いに慎重となる子どももいる。ここでは、溶けた金属はどこへいってしまったのか、それをつきとめようという投げかけから学習を開始した。塩酸にアルミニウムを溶かした水溶液を使って、実験することにした。 |
1 塩酸にアルミニウムが溶けた液から、アルミニウムを取り出す方法を考える。 |
もう一度、塩酸の中でアルミニウムが溶けていく様子を観察した。白いあわのようなものをはげしく出しながら、アルミニウムが溶けていく様子に着目させた。 次に、このようにして溶けたアルミニウムはどこに行ったのかを考えさせた。 ほとんどの子どもは、この水溶液の中に溶けてしまっていると答えた。 それなら、どうすれば水溶液の中にあることがわかるのか、班で話し合わせた。 |
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2 塩酸にアルミニウムが溶けた液を蒸発させる。 |
子どもたちから蒸発させる方法や冷やす方法が出された。 蒸発させる方法は、蒸発皿に数滴の水溶液を入れ、アルコールランプを使って蒸発させた。大量にいれると激臭がするので、注意したい。 白い粉が残ればよいのだが、少し黄色っぽい粉になる班があった。少し火にかける時間をのばした班では、白っぽい粉になっていた。 |
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3 蒸発させて出てきたものがアルミニウムかどうか確かめる。 |
この白っぽい粉がもとのアルミニウムと色も形も違うことは、子どもたちもすぐにわかった。 本当にアルミニウムではないのか確かめるには、どんな方法が考えられるのか話し合った。 また、再び塩酸に入れてみるという方法はすぐに出されたが、他の方法がなかなか思いつかないようなので、アルミニウムが電気を通す性質であったかどうか、既習経験を想起させることにした。 |
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4 実験の結果についてまとめる。 |
蒸発皿がさめるのを待って、蒸発皿から粉を取り出した。 蒸発させて残った白い粉にテスターをあてて、電気を通すか確かめたが、電気は通さなかった。 |
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塩酸の中に白い粉を再び入れても、少し白くにごるものの、あわは出ない。 はじめのアルミニウムではないことがわかった。 |
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溶けていたアルミニウムが出てくる と考えた子どももいたが、白い粉を 見てアルミニウムではないかもしれ ないと、自分の予想の見直しをして いた。 蒸発実験は、濃度が増すと危険を 伴うこともあるので、どの水溶液でも 安全を確かめずに蒸発実験をしては ならないことを説明しておいた。 |
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○評価 「自然事象についての知識・理解」:リトマス紙を用いて水溶液を調べると,色の変 わり方によって,酸性・中性・アルカリ性の3 つの仲間に分けられることを理解している。 | ||||||||||||
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子どもの感想 |
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ここでは、水溶液に溶けた金属がどうなったのかを予想し、それを確かめるための実験方法について考えることを大切にした。特に試験管を熱くして音をたてながら激しくあわを出して溶けていった、アルミニウムと塩酸の反応の様子をもう一度確認させて、溶けていった事実をおさえるようにした。水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウムを入れた時の方が、より溶け方は激しかったのだが、塩酸とアルミニウムの反応以外の結果を生かして実験をしてみたいという意見は、子どもからは出なかった。 蒸発実験では、すぐにきついにおいのすることに子どもは気がついたが、塩酸のせいだと思っているようだった。 溶けた金属はどこにいったのかという問題に対して、まず自分で既成経験をもとに予想し、次に班で話し合い、全体でよりよい解決方法について整理していくことで、自分の気づかなかった解決方法を学んだり、解決方法の手順などをよりはっきりつかんだりできたようである。 |