第三次・1/2時の学習の様子 授業記録 本時案
 歌にしたい詩を一つに決める話し合い
 今日のめあてですけど(板書 歌にしたい詩を一つに決める話し合い)
 一緒に読んでみましょう。
 歌にしたい詩を一つに決める話し合い
本時の話し合いのめあては欠かせない。
 (中略)
 <グループ代表による推薦する詩の発表>
 では、一番バッターからやってもらいましょう。・・・Aさんだったかな?何の詩だったかな?(A児 「べえこ」です)「べえこ」ですね。じゃあ、みなさん「べえこ」を見てください。じゃあAさん。前に出て発表してください。
 (C みんなで音読)
みんなで音読をすることによって話題となる詩を確かめる。
A児  いいと思ったわけは、みんな「べえこ」がかわいそうだと分かっているところです。かわいそうだと思ったところは、「べえこ」が売られてしまったことと、かあさん牛がいないところです。分かったことで、昔の数の数え方と、「べえこ」が貨車で売られていくことです。終わります。
 ありがとうございました。(C 拍手)
さあ、今の話について付け加えたいことや意見があれば、後で発表してもらいますね。
じゃあ、次のグループの人、お願いします。
B児  私は、「「つもった雪」」について話します。
 (C みんなで音読)
B児  いいと思ったわけは、3つあります。一つ目はやさしい気持ちになれることです。二つ目は、上の雪、下の雪、中の雪のことが考えられていることです。3つ目は夜で静かな様子がいいと思いました。
授業風景
 じゃあ3人目。・・・Cさん?いらっしゃい。
C児  私は、「「わたしと小鳥とすず」と」を選びました。
 (C みんなで音読)
C児  この詩がいいと思ったわけは、やさしい気持ちになれるからです。みんな同じでいいところをもっているからです。この詩を歌にすると元気が出てくると思います。それに、3年生のときに習ったので、いい詩じゃないかと思ったのです。・・これで終わります。
D児  わたしは「海とかもめ」です。
 (C みんなで音読)
D児  この詩がいいと思ったわけは、「海とかもめ」を歌にしたら元気が出そうだからです。それに、海は青い、雪は白いとか、きれいな風景がうかんできそうだからです。
E児  わたしは「しば草」を選びました。
 (C みんなで音読)
E児  この詩がいいと思ったわけは、Fさんの発表が一番よく分かって最初は「何だこの詩、しば草のことがかいてあるだけじゃん」と思っていたけど、昨日Fさんの発表を聞いてから、しば草は、悪いところもあるけれどいいところもあるんだよと教えてくれているからです。Fさんたちのグループの人は、もっといろいろなことを知っていると思います。
 それでは、次の発表行きましょう。G君どうぞ。お願いします。
G児  ぼくは「」という詩を選びました。
 (C みんなで音読)
G児  ぼくがこの詩を選んだいいところは4つあります。一つ目は歌にすると楽しそうだから。二つ目は、季節に関係していておもしろそうだから。三つ目は木の仕事はたいへんそうだから。四つ目は感じが出るように歌えると思うからです。
 はい、ありがとうございました。
では、一つに決める話し合いをするよ。
話し合いの中身が変わったことをはっきり示すことが大切である。
H児  わたしがしば草でそのとおりと思ったのは、悪いところもあるけどいいところもあるというところです。もう一つわたしが思ったのは、詩が長いので歌にしたら長く歌えていいと思ったからです。
 (H児 すわってからまた挙手)
 いいですよ。言いたいことはどんどん言いましょう。Hさん。
H児  詩が長いといったけど、あの間のところが息継ぎができそうなので、歌いやすくなると思う。
 今の話、どう?
I児  Hさんが息継ぎというのは、この間のところ(連と連の切れ目を指差す)ですこし休めるっていうことだと思う。
 なるほどね、詩の切れ目で一休みできるってことだね。ほかにどうですか。
授業風景
I児  わたしは、「木」がいいと思います。わけは、歌うと気持ちよさそうと言っていたし、短いからです。
F児  質問でいいですか。木の仕事って大変そうって言ってたけど、木はそれが仕事なんだから、あたりまえのことだと思います。
 ほかにどうですか。Hさん。
H児  「つもった雪」と「わたしと小鳥とすず」とで、やさしい気持ちになるって言うのは、どういうところなんですか。
 「つもった雪」と「わたしと小鳥とすず」とを選んだ皆さん、どうですか。Cさんどうぞ。
C児  えーと、もう一回言ってください。
H児  はい。「つもった雪」と「わたしと小鳥とすず」とでやさしい気持ちになるというのは、どういうところなんですか。
 Cさん、どうぞ。
C児  最後のところの、みんなちがって、みんないいのところです。
 「つもった雪」の人どうですか。
B児  雪のいろんなところが書いてあるからです。
 Hさん、納得できましたか。
H児  はい
この間のやりとりは大切なところである。H児は発表者のキーワード(やさしい気持ち)を聞き取った上で質問をし、それに対して答えるだけの準備をB児もC児もしている。教師は、B児、C児それぞれに話を回す必要がある。
J児  質問なんだけど、「木」で短くなると歌っても楽しくないんじゃないですか。
I児  でも、短いと歌いやすいじゃん。短かったら新しいのを付け加えて歌ったら?長くなるよ。
J児  うん、
 話し合いを続けましょう。
K児  「わたしと小鳥とすず」とでは「みんなちがって、みんないい」のところがやさしい気持ちになれると思います。
H児  「つもった雪」の詩のほうで、へんだなあと思うことがあるんですけど、・・・
 どうぞ
H児  「つもった雪」で、なぜだか「中の雪さみしかろな・・見えないで」っていうように、なんか、中途半ぱなところで終わっているので、まだ続きがありそうな感じがします。
I児  わたしは、べえこもいいと思います。わけは、かわいそう・・・べえこがかわいそうで、売られたりかあさんがいなくてかわいそうだから、やさしくていいと思います。
 みんな、今どの詩に決まりそうですか。
C児  まだ、わからん
 じゃあ、もうちょっとがんばって話し合ってみようか。L君、今どんな気持ちですか。
L児  ぼくは「しば草」です。
 そう、昨日から変わっていないんだね。
L児  長くて、楽しそうだから。
聞き手に回っていた子にこうやって発言を求めながら進めていくと。話し合いの流れを掴みやすくなる。また、話し合いへの参加の度合いも確かめることができる。
 そうですか。M君どうですか。
M児  ぼくはやっぱり「木」です。季節に関係あって、そこがいいからです。
H児  「しば草」でいいところを発表します。「青いじょうぶなやわらかな、たのしいねどこよしば草よ」は、なんかよろこぶような、元気が出るような気がします。金子みすゞさんは「しば草」でどの草も平等だと思っています。なぜなら、えーと、げんげなどのきれいな草とかもいいところも出しましたが、その草たちがあったらわたしたちが座れないという悪いところも書いてあって、「しば草」も同じように割るいところもいいところもあるから平等にしているんだと思いました。
K児  「わたしと小鳥とすず」とで、最初に小鳥ができることとわたしができないところがあって、その次に小鳥ができないところと、それとわたしができることが書いてあって、次にすずしかできないことがあって、わたしにはできないで、次はわたしができることで、すずができないことが書いてありました。
 すごいなあ。あんなに長く発表するってすごいなあ。
 ほかに言いたいことある?N君、どうしたの?
N児  「しば草」はいい詩だと思う。「たのしいねどこよしば草よ」がいいなと思う。
 ちょっと他の人にも聞いてみようか。今、どんな気持ちですか。Oさん。
O児  ・・うーん。「しば草」がいい。
 そうですか。では,P君、君の気持ちは今どの詩に傾いてる?
P児  ・・・「つもった雪」。
 じゃあね、今「べえこ」に傾いている人いますか?
 (E児挙手)
 Eさんは、一番初めに「べえこ」を選んでいましたね。また、べえこにもどったの?
E児  べえこのことを心配している人や、べえこのかわいそうなすがたがうかんできたからです。
 そうですか。分かりました。では「つもった雪」に傾いている人。
 では,次は「わたしと小鳥とすず」とに傾いている人?・・・Qさん、ますます自信をもったんだね。どうしてですか。
Q児  やさしい気持ちになれるというところ・・・・みんないいところがあるというところです。
 (一つ一つの詩についころて、挙手を求めていく)もう少しで時間ですね。話し合いももう少しです。
F児  「つもった雪」で、みすゞさんは雪のことを心配していると思います。さむかろなやつめたかろなやさみしかろなと言っているからです。
 ほかに?言い残したことありますか。Kさんどうぞ。
K児  「わたしと小鳥とすず」とで、不思議な気持ちにもなりました。
I児  平等ってなあに?
 だれが、平等って発表したかな。(H はい)
H児  いいところもあれば,欠点もあるし、いいものも悪いものも比べて一緒だよっていうことです。
F児  悪人と王様がいて・・・くらいは違うけど・・・いや悪人じゃないか・・・・農家の人と王様がいて、くらいは違うけど同じように扱わんにゃいけんの。だから、はかりにかけても同じ人間だから、王様でも農家の人でも同じところでストップするの。
 同じって言うことが言いたいんだね。なるほど、くらいが違っていて、やることも違っているかもしれないけど人間として同じってことなんだね。
(略)
この話し合いを経て、子どもたちは自分の立場の最終決定をする。ほぼ3分の2の賛成を得 て「歌にしたい詩」に選ばれたのは、本時で話題の中心となった詩「しば草」であった。本時の話し合いが子どもたちの決定に影響していることがうかがえる。
グループで推薦された詩の全文
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