授業の実際1:実験をして確かめよう

 本時は、試験管を温めると、試験管の口についたシャボン玉の液がふくらむのはどうしてかを検証する実験活動である。また、空気を温めたり冷やしたりして、そのかさが変化することを体感する学習活動である。
 前時に、試験管を手で温めたり、お湯で温めたりすると、その口のシャボン玉の液がふくらむのはなぜかを予想した。試験管の中の空気がふくらんだと答えた児童がほとんどであったが、数名は空気が上に上がって押していると予想した。試験管だけでなく三角フラスコや丸底フラスコ・ペットボトルで同じようにして確かめる班がいくつもあったが、その中に試験管を逆さまにして実験した班があった。その班から、シャボン玉の膜が下にあってもふくらむのだから、中の空気全体のかさが大きくなったのだろうという意見が出た。
 そこで、班ごとにかさの変化を目で確かめられる実験を考えることにした。
 後半は、ものづくりにつなげる活動として、学習したことを生かして独自の実験装置を工夫する時間とした

 いろいろなもので空気のかさが変化することを確かめる。
 理科教室にあるものづくり材料コーナーの引き出しから、いろいろな容器を持ち出して、中の空気を温めてかさの変化を調べ始めた。
 ・マヨネーズの容器
 ・ピンポン球
 ・一口しょう油差し容器
 ・風船
 ・フラスコ

 全体がふくらんでいるようだと答える児童が多かった。
 

 空気を温めたり冷やしたりする。


        
 シャボン玉の液を使って、いろいろな容器で何度も実験している班から、あまりかさが変わらなくなったという気付きが生まれた。

 そこで、実験の始めのように空気のかさを大きく変化させるにはどうしたらよいか投げかけると、一度冷やすとよいという意見があがった。

 そこで、みんなでもう一度シャボン玉の液を使って空気を閉じこめ温めたり冷やしたりしてみることにした。
○評価 「科学的な思考」@
Aと判断した子の思考例 Bと判断した子の思考例 Cと判断した子への指導
○空気を温めると、容器の中で四方八方に大きくかさがふえていくが、冷やすとそのかさは逆に小さくなることが予想できる。また、温度差をはげしくすれば、空気のかさの変化はもっと大きくなるのではないかと予測できる。 ○空気は温まるとかさが大きくなり、反対に冷えるとかさが小さくなることに気付いている。シャボン玉の液が上がるのは中の空気のかさが大きくなるからだということを理解している。
○お湯などにつけて容器を温めると、容器の中に閉じこめられた空気が大きくなって容器がふくらむことを実験のそばでいっしょに確認する。冷やすとシャボン玉の液が下がることは、中の空気が小さくなっていることを図をかいて説明する。

 空気のかさの変化がわかる実験装置をつくる。
 風船をフラスコにつけた班は、お湯につけたり氷水につけたりして、そのふくらみの変化で温度によるかさの違いがわかると言った。
 この班は、フラスコを始め逆さまにしていたが、口の部分を小さくするとあわが出て、空気のかさが大きくなったことがわかると言った。
 お湯に直接手がふれないように気を付けていた。

 温めておいた容器を別のビーカーで冷やすと、ガラス管の先からどんどん水が三角フラスコに入り込んできたのに驚いていた。空気のかさがどれだけ小さくなっているかよくわかると、他の班からほめられた。
○評価 「観察・実験の技能・表現」@
Aと判断した子の行動例 Bと判断した子の行動例 Cと判断した子への指導
○空気のかさが温度の変化によって変わることを理解し、そのかさの変化が目に見えるように実験道具を工夫している。容器選びや器具選びにも理由付けができる。 ○温度変化によって空気のかさがかわることを知り、かさの変化をものを使って説明できる。例えば、かさが大きくなればボールはかたくなり、小さくさればやわらかくしぼんでくるといった説明ができる。 ○温度の違いによる空気のかさの変化であることを確認させたい。容器の中の空気がどうなれば、かさがふえたりへったりしたことがわかるのか、班の実験装置などを前にして、説明を加える。
子どもの感想
授業を終えて

 お湯で温かくなると空気はかさが大きくなり、冷えると小さくなることが、いろいろな実験でよくわかりました。フラスコの先からたくさんあわが出てきた時、みんながすごいと言ってくれました。うれしかったです。また、いろんなそうちを作ってみたいです
 
授業を終えて

 空気を冷やすと、シャボン玉がどうして下に下がっていくのか、始めはよくわからなかったけど、実験していくうちに、空気のかさが変わるからだということがわかりました。空気は大きくなる時、下の方からでも外に出ていくことがわかりました。いろんな実験ができて楽しいです
 シャボン玉の膜が下にふくらんだり、風船が下にふくらんだりすることから、空気は上だけでなくいろいろな方向に大きくなっていくことが確認できた。空気の入った容器をあらかじめ冷やしてから、お湯などにつけると空気のかさが大きく変わることを児童は体感していた。逆にいきなり冷たい氷水に容器をつけるとかさが急激に減ることも実験を通して確かめていた。学習の途中で、容器を冷やすと空気のかさがそれまで大きくなっていたものが逆に小さくなるということに気付いてから、実験装置の工夫に視点を向けた、より活発な学習が見られるようになった。



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