授業の実際2:水も温度によって、かさが変わるのだろうか |
本時は、水を温めたり冷やしたりすると、空気と同じようにかさが変わるのかを検証する実験活動である。空気と同じように温めるとかさが大きくなると予想する児童はおよそ全体の1/4であったが、理由はうまく見つからないようであった。やかんのお湯が湧くと注ぎ口からふきこぼれるのを見たことがあるという意見が出たが、コンロの火を止めるとすぐに止まるからおかしいという反論がすぐにあがった。また、逆に温め続けると水はどんどん減っていくはずといった意見も出た。水は空気と違って目に見えるので、かさの変化がわかりやすいはずだが、逆さまにできないことや温めるお湯の中に浸けるとよくわからなくなることなど、空気の実験と同じようにはいかないことを全体で確認した。 やはり、多くの児童は水は空気のように縮まないので、温度によってかさも変化しないと考えているようであった。それだけに、実験を通してかさがふえていくことに対する驚きは大きかったようである。 |
1 変化の見やすい実験方法を考える。 |
空気のかさの変化を調べ た時、違いがよくわかる方 法を見つけた。 ・ 温める容器は大きい方 がよい。 (試験管よりもフラスコ) ・ 温めるためのお湯は温 度が高い方がよい。 (始めにフラスコを冷や しておくとよい) ・ フラスコの出口は、ガラ ス管などをさして、でき るだけ細くした方がよく わかる。 |
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2 水のかさの変化を調べる。 |
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どの班もフラスコの出口に ガラス管をさすことになった が、ガラス管の短いものと長 いものを用意して選ばせる ようにした。 空気の時に使用した管の 先がすぼんだ短いガラス管 を一班選んだ以外は、でき るだけ長い管にしていた。 フラスコ内を水でいっぱい にして、空気のすき間がな いようにしないと、正確な実 験にはならないことを全体 で確認した。 |
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○評価 「関心・意欲・態度」@ | ||||||||||||
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3 空気と比較しながら調べる。 |
空気のかさの変化も同じ ような装置で確かめてみよ うと投げかけた。目印とし て、ゼリーをガラス管で直接 くり抜いて行った。やわらか いゼリーを使用した。 空気のかさの変化は大き く、お湯で容器を温めると、 たちまちゼリーがガラス管を 上昇し、勢いよく上へ飛び出 した。 水のかさの増え方との違 いに児童は驚いていた。 |
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この実験の後、冷やすとか さが減るだろうという予想の もとに、空気と水の入ったそ れぞれのフラスコを冷やし始 めた。 やはり空気を冷やした時の ゼリーの吸い込まれ方はす ばやく、児童は何度も確かめ ていた。 班の中に、空気のかさの実 験を生かして、ゼリーを高く飛 び上がらせるために、あらかじ め容器を冷やすところもあり、 班ごとの工夫も始まった。 |
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4 水や空気のかさの変化を使ってものをつくってみる。 |
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○評価 「観察・実験の技能・表現」@ | ||||||||
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子どもの感想 |
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水は温度を変えてもかさは変わらないと考える児童が多かっただけに、水が細いガラス管を上っていくのは児童にとって驚きであった。前時に、児童がフラスコなどの口を細くしておくとあわが連なって出て行き、かさの変化がよくわかることを見つけていたので、ガラス管を使ってみたらという意見はすぐに出てきた。しかし、どんなガラス管をどのように使ってみるかというところは、児童に考えさせてみた。フラスコ内を水だけでいっぱいにしないまま実験を進める班があったので、何のかさを調べようとしているのか問いかけて実験の不備に気付かせるようにした。空気の入ったフラスコの方で、ゼリーが飛び出すのを大変驚いていたが、そのうちもっとよく飛び出させるにはあらかじめ容器を冷やした方がよいことに気付き、冷やすとゼリーがどう動くかといったことへ関心が移っていった。この時、ゼリーが上がったり下がったりするのは、空気のかさが変わっているからだということをきちんと押さえるようにした。 最後に、水や空気かさの変化を利用した実験道具をつくる時間をとったが、学習の節目にものづくりの学習の時間をとると、創造的な学習の中で学習内容の確かめも行えてよかった。綿密に計画をたててものづくりを行うほどのことはしないが、その後のものづくり活動の発展につながるものと思われる。 |