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Yamaguchi Education Support Center

 やまぐち総合教育支援センターは、調査研究事業として「教科等の見方・考え方を働かせる授業づくり」について研修するための研修モジュールの開発について研究を進めています。

研究の背景

 平成30年度から順次施行される新学習指導要領では、資質・能力の育成に重点が置かれ、そのために「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善が求められています。なかでも深い学びの鍵となるのが、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」です。各教科等の「見方・考え方」は、「どのような視点で物事を捉え,どのような考え方で思考していくのか」というその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方です。各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすものであり、教科等の学習と社会をつなぐものであることから、各教科等の「見方・考え方」は、学習の中だけではなく、これからの時代を生きる子どもたちに、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等を育成する上で極めて重要なものです。しかし、学校現場では、日々の業務の忙しさから、校種や各教科等の特質に応じた「見方・考え方」について、十分な共通理解が得られておらず、なかなか授業改善につながりにくい現状があります。
 やまぐち総合教育支援センター教育支援部では、平成28・29年度に、二つの調査研究に取り組んできました。情報教育班は、「教員等のICT活用指導力向上のためのモジュール型研修プログラムの開発」において、学校が主体的、継続的にICTに関する研修会を自校の教員で運営できる仕組みとして、学校の実態や状況変化に柔軟に対応でき、20分程度で研修の実施が可能なモジュールを開発しました。また、学校支援班は、「深い学びの過程を通して科学的な概念の形成を図る理科指導法の研究−生きた知識が身に付く小・中学校学習モデルの構築−」において、深い学びにつながる授業づくりのために、国が考える理科教育の動向に関する情報収集や学習モデルの理論構築、理科の見方・考え方を働かせる授業の具体やその研修についての検討を行い、「生きた知識が身に付く理科学習モデル」を提案しました。
 本研究では、上記の二つの調査研究で得られた知見を生かし、研修の機会の創出や教科等の見方・考え方を働かせる授業づくりの理解を目的とした研修モジュールを新たに開発します。そして、校種や教科ごとに整理し、研修モジュールの効果的な活用や体系的な組合せ等をモジュール型研修モデルとして提案することで、教員の資質向上に資することをめざします。

モジュール型研修モデルとは

 モジュール型研修モデルとは、研修モジュールという研修材料を活用した新たな研修であり、研修モジュールの効果的な活用や体系的な組合せ等をモデルとして提案するものです。

− 研修モジュールの特徴 −

▼ 教科等の見方・考え方やそれらを働かせる授業づくりのポイントを、短時間で理解できるように、各校種・教科で整理・細分化しており、目的に応じて選択できます。

▼ 1部講義型、2部ワークショップ型の2部構成とし、各学校等で主体的に研修できるように、プレゼンテーションスライド、ファシリテーター用の読み原稿、ワークシート等を研修モジュールごとにまとめています。

▼ 教科等の見方・考え方と、考えを可視化することや思考の過程を明確にすることにつながるプログラミング的思考の要素を組み合わせた内容です。

開発

− 教科等の見方・考え方を理解する研修モジュール −

 各教科等の特質に応じた見方・考え方を、領域等によって整理・細分化し、その一つ一つについて研修モジュールを作成しています。その際、教科や単元によって、教科等の見方・考え方のよりよい理解や子どもの思考の流れの可視化、見方・考え方を働かせるきっかけ等として、プログラミング的思考の要素を取り入れ、その要素が教科を比較した際の共通項となるように工夫しています。また、各研修モジュールは、15分〜20分程度で研修が実施できる内容とし、1部講義型、2部ワークショップ型の2部構成で作成しています。
 1部は、教師がスライドの説明を確認しながら、教科等の見方・考え方を理解し、授業で子どもたちが見方・考え方を働かせるように促すためには、どうしたらよいかを考える研修モジュールです。2部は、教師が実際に見方・考え方を働かせる演習を通して授業の構想や計画を立てる協議を行う研修モジュールです。

− プログラミング的思考を理解する研修モジュール −

 プログラミングをする際に働かせる一連の思考を、プログラミングの手順を踏まえて、「分解」「順序立て」「一般化」「抽象化」「デバッグ」「評価」と六つの要素に分解・整理しました。その一つ一つを研修モジュールとして作成し、教師が各要素とその有効性について理解できるようにしています。また、教科の研修モジュール同様に、各研修モジュールは2部構成とし、15分〜20分程度で研修が実施できるものにしています。
 1部は、プログラミング的思考として分解・整理した一つ一つの要素について、どのような思考かを知る研修モジュールです。2部は、演習等を通してプログラミング的思考の各要素の有効性について捉え、授業のどのような場面でその思考が生かせるかを考える研修モジュールです。

− 教科等横断的な視点を身に付けるための研修モジュールを一覧にした活用シート −

 教科等の見方・考え方とプログラミング的思考の要素との組合せを一覧できる表があれば、 プログラミング的思考の要素という共通項から教科の枠を越えた教科等横断的な研修が実施しやすくなります。そこで、縦軸を教科等の見方・考え方、横軸をプログラミング的思考の要素として、活用シートを作成します。このシートの活用により、例えば、「順序立て」を共通項として、教科の枠を越えた教科等横断的な研修を実施することが可能になると考えています。

プログラミング的思考
分解 順序立て 一般化 抽象化 デバッグ 評価
国語 話すこと
(中・高)
話すこと
(中・高)
    
    
    
    
     
    
    
    
社会
地理歴史・公民
時期や時間
の経過
(小)
    
    
時期や時間
の経過
(小)
事象や人々
の相互関係
(小)
     
    
位置や空間
的な広がり
(小)
算数
数学
図形
(中・高)
    
    
関数
(中・高)
図形
(中・高)
数と式
(中・高)
データの活用
(中・高)
数と式
(中・高)
理科 多様性
共通性
(小・中・高)
多様性
共通性
(高)
量的・関係的
(小・中・高)
質的・実体的
(高)
時間的
空間的
(小・中・高)
比較する
(小)
質的・実体的
(小・中・高)
多様性
共通性
(高)
外国語(英語)

聞くこと

書くこと
(中・高)
聞くこと

書くこと
(中・高)


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